円安好き日本株の変節、慢性化でデメリット警戒-コスト増す内需打撃
(ブルームバーグ): 円相場が34年ぶりの安値圏で推移する中、円安の慢性化がもたらすデメリットに対し、日本株市場でも警戒感が高まり始めている。
円安といえば、グローバル企業が多い自動車や電機など時価総額の大きい主要製造業の利益を押し上げるため、日本株には総じてメリットがあるというのが一般的な見方だ。製造業は日本の産業構造の4分の1を占め、東証株価指数(TOPIX)では自動車を含む輸送用機器と電機の合計ウエートが2業種だけで25%を超すなど、日本経済にとって存在感は大きい。
だが、円安が輸出にもたらす恩恵の陰で、国内消費への悪影響も蓄積してきている。2022年以降、円は対ドルで24%下落。主要20カ国・地域(G20)通貨の中では高インフレに悩むトルコとアルゼンチンを除けば、最弱だ。急激な円安が購買力を奪い、消費低迷を招いた結果、内需依存度の高い陸運や小売株は過去最高水準に達した訪日外国人客による消費のかさ上げがあるにもかかわらず、低迷している。
3月の訪日外客数は308万人、単月で初めて300万人超え
ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズの新原謙介日本担当チーフ・インベストメント・オフィサー(CIO)は、円安には勝者と敗者がいると指摘した上で、「消費者にとってはネガティブだ。今後円安にどんどんいけば、企業収益にはプラスになる余地があるが、それ以上のデメリットを消費者にもたらし得る」と述べた。
実際、日本銀行の消費活動指数は2四半期連続で低下し、今年1-3月の訪日外国人客分を除く実質消費は過去2年間で最低の水準に落ち込んだ。
投資家がこれまで消費の低迷に目をつぶってきたのは、春闘で高水準の賃上げ妥結が相次いだため、今後は徐々に消費が回復し、円安の悪影響を上回ると見てきたからだ。また、為替については米国の金融政策が今後数カ月内に利下げに転じれば、円高・ドル安方向に振れやすいとの読みもあった。