麻生派議員「冷や飯の美味しい食べ方を学ばないといけない」 閣僚経験者「ノーサイドと言っておいて自ら溝を作っている」 石破内閣発足の“舞台ウラ”を政治部記者が解説
1日、石破政権が発足した。人選の狙いや背景について、テレビ朝日政治部の村川仁基記者に聞いた。 【映像】石破氏より人気がある? 涙を出して喜ぶ佳子夫人 ━━派閥がほぼ解散し派閥からの推薦がない中で、何を判断材料として、どんな狙いで人選したのか? 「一番の狙いは『安定感』だ。調整能力に定評がある森山氏を幹事長に起用しているのも、石破氏が『幹事長は選挙に強く、現場や総裁に責任を押し付けず、泥をかぶれる人がいい』と話していたように適任だろう。副総裁の菅氏についても、石破氏は“気心が知れている人”として、そして公明党や維新の会とのパイプ役としても期待しているようだ」
━━麻生派は高市氏を支援した結果敗れた。そんな麻生氏を最高顧問に置いたのはなぜ? 「挙党体制を組むために、一議員としても外交などの経験豊富な麻生氏からアドバイスをもらおうとしているようだ。さらに石破氏は麻生派の鈴木財務大臣を総務会長に起用し、麻生派に配慮した形をとっている。とはいえ、総裁選の結果が出て石破氏が壇上に上がる際、隣の岸田氏は拍手で迎えているのに対し、麻生氏は厳しい顔で座っていたのが印象的で党内融和が図れるかは不透明だ。麻生派の議員からは『冷や飯の美味しい食べ方を学ばないといけない』という自虐的な声も上がっている」 ━━総裁選で争った高市氏には総務会長を、小林氏には広報本部長を打診したが固辞されたという理由は? 「高市氏は周辺に『石破氏とは全く考えが違うから役職は受けない』と話している。同陣営も『考え方が違うから自由に動いたほうがいい』と話しており、“次”の準備を進めるものとみられる。小林氏は自身の陣営の幹部も起用してほしい、と主張し断ったとされている。ある閣僚経験者は『ノーサイドと言っておいて、自分たちから溝を作るのは印象が悪い』と早くも不穏な空気を漂わせている」 ━━そんな中、なぜ小泉氏は選対委員長となったのか? 「元々石破氏と距離が近く、知名度の高い小泉氏を『選挙の顔』として起用することで刷新感も出したい考えだ。ただ、『裏金議員の公認問題』という難しい問題もあるので厳しい船出となりそうだ」 ━━閣僚の人選にはどのような特徴があるのか? 「官房長官を続投することになった林氏は総裁選でも争ったが、“岸田路線の継続”という意味合いを出すことができる。また、同じく総裁選で争った加藤勝信氏は財務大臣に起用している。さらに、総裁選で石破氏の推薦人に名を連ねた6人が入閣している。外務大臣に岩屋氏、デジタル大臣に平氏、経済再生担当大臣に赤沢氏、総務大臣に村上氏、農水大臣に小里氏、地方創生担当大臣に伊東氏。官房副長官には橘慶一郎氏、青木一彦氏を起用している」 ━━党内の反応はどうか? 「石破氏に近い議員は『石破は適材適所しかやらない』と評価する一方で、『石破の友だちで固めた、順当に論功行賞だ』との冷ややかな声もある」 ━━今回、河野太郎氏は入閣していないようだが。 「だが一方で河野氏の推薦人を務めた3人を入閣させている。復興大臣に伊藤氏、経産大臣に武藤氏、環境大臣に浅尾氏だ。また、小泉氏の推薦人を務めた三原氏をこども政策担当大臣に、小泉氏を支援した坂井氏を国家公安委員長に起用する。前回の総裁選では石破氏は出馬せず、小泉氏と共に『小石河連合』として河野氏を支援したが、今回の組閣でも『小石河連合』の色が見える人事となっている。ただ、党内からは『支持率が上がるとは思えない』『選挙応援に来て欲しい人が一人もいない』との声もある」 ━━石破氏は党内基盤が弱いと言われているが、今回の党役員人事、閣僚人事は誰かと相談して決めたのか? 「総裁選で自身の選対本部で幹部を務めた人々との話し合いで決めた。議員宿舎で調整を進め、七転八倒しながら決まったと語っている」 ━━石破新総理はどういう政策を進めるのか? 「防災省(庁)の設置が大きな目玉になるだろう。日本は世界一の災害大国であり、内閣府防災担当を飛躍的に強化する必要があると述べている」 ━━石破氏は早期解散を考えているようだが、なぜ解散を急ぐのか? 「党内から早期解散を求める声があり、期待感があるうちに選挙をしたいという狙いがあるようだ」 ━━総選挙の日程は10月15日公示、27日投開票とされているが、具体的な日程は? 「石破総裁は『なるべく早く国民の審判を仰ぐ』と考えており、9日にも解散に踏み切る考えだ。1日に臨時国会で総理大臣に指名され組閣し、4日に所信表明演説、7日から代表質問を行う見通しだ」 (ABEMA/倍速ニュース)