アートで県一帯にもっト誘客 来春のプレDC 芸術関連施設周遊を促進 「にぎわい全体に」 福島県内から期待の声
2026(令和8)年春に福島県で開催される大型観光企画「デスティネーションキャンペーン(DC)」に向け、県や観光・経済団体などでつくる県実行委員会は開幕前の来年4~6月のプレDC期間に、「アート」を柱とした周遊促進に取り組む。県全域に点在する美術や芸術に関する観光資源を洗い出し、ルート化する。JR駅から遠い地域に誘客効果が行き渡るよう駅からの2次交通も充実させ、前回DCで課題だった市町村間の温度差を解消しながら、インバウンド(訪日客)も呼び込む。 2026年4~6月に展開されるDCは、福島市の県立美術館で開幕する「大ゴッホ展」第1期(2026年2月21日~同年5月10日)と重なる。県実行委員会は大ゴッホ展によって期待される芸術に親しむ機運をプレDCの段階から醸成し、アートという視点で県内の観光資源を磨き上げる方針だ。 具体的な周遊促進策としては県内各地の美術館など芸術関連の施設を巡る企画を想定。「県内の美しい景観や物、人の営み、食などもアートとなり得る」(県観光交流課)と捉え、来県した旅行者が撮った写真や動画を募る企画なども構想している。感動や感想を交流サイト(SNS)で発信してもらい、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故発生から15年目に催すDCでの訪日客の獲得につなげたい考えだ。見いだされた観光資源は、DCと連動したアートツーリズムに生かす展開を視野に入れる。
県によると、2015(平成27)年を本番とする前回DCでは参加意識や盛り上がりの地域差、スポットを当てた観光素材が長期的な誘客を生む「レガシー」の少なさが課題となった。JR駅周辺以外の地域への周遊性の確保も改善点として挙がった。 県実行委員会は24日、福島市で開いた県観光復興推進委員会の総会に合わせて発足した。実行委には県や観光・経済団体に加えて県レンタカー協会、県バス協会、県タクシー協会など交通団体も名を連ねる。県は今後、各団体と連携して駅から離れた地域までDCによる経済効果を浸透させる仕組みを検討し、市町村間の温度差の解消も図る。 会議ではDCのキャッチコピーとロゴマークが発表され、内堀雅雄知事らが除幕した。コピーは「しあわせの風ふくしま」で「新たな幸せの風が福島に舞い込んでほしい」との願いが込められている。応募のあった3368件から県外在住の女性の案を、郡山市出身の県クリエイティブディレクター箭内道彦さんらによる選考委員会が決定した。