チョコザップ急拡大、グループの成長けん引役に-海外市場にも挑戦
(ブルームバーグ): RIZAPグループが展開する低価格タイプのジム「チョコザップ」が健闘している。スタートから2年余りで127万人の会員を集め、グループの増収に寄与する成長のけん引役に育ってきた。
当初は運動目的で会員登録したが、今はカラオケのために通っている-。会員からはこんな声も上がる。カラオケボックスから洗濯機、脱毛マシンなどさまざまな機器を備えるチョコザップに通う理由は人それぞれ。コスト削減のためスタッフの常駐はなく、週1-2回清掃を手伝うなどすると月会費の割引を受けられる仕組みがあるのもユニークだ。
一風変わったジムの誕生は新型コロナウイルスの感染拡大がきっかけだった。主力事業の不振を受けて試験的に始めたが、在宅時間が長くなり健康維持を望む人が増えたことが追い風になり、8月時点で1597店まで拡大した。チョコザップ事業に携わるRIZAPテクノロジーズの鈴木隆之社長は「24時間営業で便利な場所にあり、売れ筋を頻繁に入れ替えるコンビニを意識した」と振り返る。
「結果にコミットする」高級路線のジムで一世を風靡(ふうび)したRIZAPは、経営不振企業の買収を繰り返す中、経営が悪化。19年3月期には最終損益が194億円の赤字となり、23年3月期まで4期連続の減収となった。だが月会費3278円、低価格という真逆のコンセプトを掲げるチョコザップの登場でグループの状況は変わりつつある。
24年3月期は5期ぶりに増収となり、足元でも堅調に推移。24年4-6月期(第1四半期)のチョコザップ事業の増収幅は約47億円で、グループ全体の増収幅(約42億円)を超える水準だ。
野村証券のアナリスト、繁村京一郎氏は「効率的にうまくやっている」と評価する。「一定の規模が出ないとなかなか利益が出ないため、追いつこうと挑戦する企業は2-3年の赤字を覚悟しなければならない」と話す。
1万店
RIZAPグループは中期経営計画で最終年度となる27年3月期に営業利益400億円の目標(24年3月期は約6億円の赤字)を掲げる。今後のチョコザップに課せられた使命は利益面での貢献だ。23年11月に単月黒字化を達成したが、今後規模を拡大しながら継続的に利益を稼いでいくことが重要になる。