元祖2大YouTuberに再評価の波? ヒカキン&はじめしゃちょーが改めて“脅威的な伸び”を見せる背景
最近、YouTubeでは短期間でチャンネル登録者が爆伸びしているヒカキンと、ショート動画で1億回再生を記録したはじめしゃちょーに大きな注目が集まっている。日本のYouTube界をけん引する2人がなぜいまバズったのか。今回は、ヒカキンとはじめしゃちょーの数字が伸びている理由を分析する。 【写真】1億回再生を突破したはじめしゃちょーの顔面水槽企画「ブサイクすぎたのが原因」 2021年9月10日、開設10周年という節目に登録者数1000万人を突破したヒカキンのメインチャンネル「HikakinTV」。多くのYouTuberたちも祝福した大記録達成後、同チャンネルの登録者数は2023年11月29日に1200万人を突破し、2024年3月11日には1300万人にまでその数を押し上げていた。しかし今月に入り、登録者数が爆伸び。5月4日に1500万を突破すると、同月11日には1600万人に到達、さらに19日には1700万人までの数を伸ばし、そのわずか1週間後の26日には1800万人を突破するなど、その数は伸び続けている。 ネット上で大きな話題となっているHikakinTV登録者数の爆伸びについて、5月11日と19日の生配信でヒカキンが自らその理由に言及し、「ショート動画の影響が大きい」と説明している。「長尺とは別の世界で戦えるのか試したかった」という思いから、研究を重ねながらショート動画を投稿したというヒカキンは、自身がバズりそうと思う動画を投稿したところ、「バズれた」と話す。「もう止まってもいいのに」と本人が苦笑いするほど再生数と登録者数が増加しつづけているのだが、ヒカキンのいうバズったショート動画はどういうものなのか。 4月2日に投稿された「1」は、モニターに映されたチャンネル登録者カウンターが0から1に増えたところで、ヒカキンが大きなクラッカーを割るというもの。この動画は5100万再生を記録するヒットコンテンツとなったが、5月10日に投稿した99から100にカウンターが変わる「100」も5000万近く再生され、海外視聴者から多くのコメントが書き込まれている状態だ。 だがショート動画がバズったのはヒカキンだけではない。同じくトップを走り続けるはじめしゃちょーもまた、最近とんでもない記録を打ち立て話題になっている。はじめしゃちょーが5月3日に投稿したショート動画「顔面水槽がブサイクすぎるwwwww」は、同月12日の1日だけで1600万回再生される異常事態が発生。 投稿から2週間後の同月17日に1億回再生を突破し、はじめしゃちょーが19日に速報動画を投稿したほどだ。速報動画では、インドネシア、インド、ロシア、ブラジルでよく視聴されていたことを明かしているが、バズった理由については明確にわかっていないようで、「3人の日本人がブサイクすぎたのが原因」など、自虐コメントを残している。 しかしなぜ2人のショート動画はバズったのか。実はまったく内容の異なるヒカキンとはじめしゃちょーのショート動画には、ある共通したポイントがありそうなのだ。それは、SNSマーケティングにおいて重要視されている“既視感”だ。 ヒカキンのカウンター動画は、実は海外のYouTuberの登録者数が急激に増加した事例があり、海外視聴者のなかには同じような動画をみたことがある者がいたと考えられる。ヒカキンのいう研究は、こういった海外のショート動画における事例や情報の収集だったのではないだろうか。 はじめしゃちょーの顔面水槽はというと、海外YouTuberの事例があったわけではなく、ある人気アニメの1シーンやMVを彷彿とさせたことがバズった理由のひとつと考えられる。アニメに関しては、アメリカのアニメ『スポンジ・ボブ』の1コマをイメージさせるというコメントがあり、このコメントには2.5万「いいね」がつくなど共感する視聴者が多かった模様。 MVはというと、イギリスのロックバンド・Radioheadの「No Surprises」という楽曲のMVのなかで、同バンドメンバーのトム・ヨークが水槽のような透明な球体のなかにおり、顔の部分に水がゆっくりとせり上がってくる様子が、はじめしゃちょーらと似ているのだ。動画のコメント欄には海外視聴者から「No alarm and no surprises」という同曲の歌詞の一部が書き込まれているほか、日本の視聴者からも「レディオヘッド過ぎて草」といった声が複数確認できるが、速報動画をみる限り、はじめしゃちょーがアニメとMVからインスピレーションを受けたとは考えにくく、奇跡的に似ていたと思われる。 海外でのバズを狙って見事バズらせたヒカキンと、予想外にバズったはじめしゃちょー。両者の数字の爆伸び理由のひとつは既視感にあったといえそうだが、なにはともあれ2大トップランナーの活躍には視聴者からもあらためて称賛の声があがっている。(数字はすべて2024年5月30日時点)
せきぐちゆみ