萩原利久&八木勇征W主演、BLドラマ界を変えた歴史的な作品「美しい彼」の魅力を振り返る
BLドラマブームの火付け役といえる「美しい彼」。ドラマのシーズン1を再編集した「美しい彼~special edit version~」が7月16日(火)に、「劇場版 美しい彼~eternal~」が7月17日(水)に日本映画専門チャンネルで放送される。さらに、1月に同局で放送したオリジナルコメント映像「萩原利久&八木勇征 SPコメント」もあわせて放送する。また、両作品で萩原利久とともにW主演を務める八木勇征が出演する「BACK TO THE MEMORIES」もシリーズ3作を3夜連続放送。現在、この「BACK TO THE MEMORIES」と連動するテレビシリーズ「FUN!FUN!FANTASTICS」の第4弾も放送中とあって、俳優・八木勇征と彼が所属するダンス&ボーカルグループ・FANTASTICSが大いに盛り上がりを見せている。そこで、本記事では八木が俳優としてブレイクするきっかけとなった「美しい彼」の魅力を改めて振り返りたいと思う。 【写真】実写化を危惧する声も一蹴した八木勇征の美しさ ■危惧する声も一蹴した八木勇征の美しさ 今やBLドラマブームが到来し、週に数本放送されるのが当たり前となっているが、「美しい彼」以前と以後で分かれるといっても過言ではないほど、同ドラマは歴史的な存在となった。同ドラマで八木がブレイクして以来、BLドラマは若手イケメン俳優の登竜門の一つとも言える位置づけとなり、前述したようにBLドラマの制作本数が増えた。こんなにも多く熱心なファンを生み出すことが、この作品をきっかけに世に知られたのだ。 「美しい彼」は、凪良ゆうが執筆し、葛西リカコがイラストを担当したBL小説が原作。「汝(なんじ)、星のごとく」で2度目の本屋大賞を受賞した凪良だが、以前から多くのBL小説ファンの支持を受けていた。なかでも人気作である「美しい彼」のドラマ化が発表されたときは、原作ファンの間では賛否両論が展開。ワクワクと期待する読者ももちろんいたが、この原作の世界観を果たして実写化できるのか…?第一にタイトルロールである“美しい彼”を演じることができる役者がいるのかどうか、と注目された。 “美しい彼”は、この作品の主人公である平良一成(ひらかずなり)が出会う高校の同級生・清居奏(きよいそう)を指す。吃音症を持ち、幼い頃から周囲になじめない平良は、高校で学校カーストの頂点に君臨し、他の者を圧倒するキングとして存在感を放ち、信じられないほど“美しい彼”である清居にひとめで恋に落ちる。そんな清居を実写化することに不安の声もあったのだが、八木が清居に扮した「美しい彼」のメインビジュアルが発表されたときに危惧する声は驚くほど静かになり、代わりに称賛の嵐が巻き起こった。八木こそまさに“美しい彼”であり、“美しい彼”がここにいた、というわけだ。 八木にはインパクトがあるほどの美しさが備わっていたし、いざドラマが始まると八木が再現して見せたのは外見だけではなかった。ともすれば暴君になりかねない清居という役どころを、内包する孤独感と繊細さもにじませて愛すべきキャラクターに構築してみせた。 平良に扮した萩原もまた、いじめられっ子的に型にはまったキャラクターに陥ることなく、平良の図太い人間性を魅力的に好演。平良は親しい友だちはおらず、生きづらさを抱えながら日々を過ごしているが、不憫で弱い人間では決してない。マイペースにたくましい平良は達観した考えを持って、人生をサバイブしていく。 ■追う立場と追われる立場が逆転してからが真骨頂 平良がたくましい人間であるようにこの作品は、一見弱く見える者の方が強く、また追う立場だと思っていた者が追われる立場となる。ここがこの作品の真骨頂といえよう。立場が逆転するところから、さらに吸引力がアップしてギュインと視聴者を引き込んでいく。それまで平良の視点で、信仰にも似た愛を清居に向ける姿が描かれていたのが、後半で清居の視点に切り替わる。実は清居も孤独を抱えており、自分に熱い視線を向ける平良によって清居自身が救われていたのだ。 キングと思われていた清居が実は寂しがり屋であり、それまでベールに包まれていた清居の気持ちがつまびらかに描かれる。クールだと思っていた清居が、平良にドキドキしているようすはまるで乙女のようでかわいい! 今までとのギャップもあいまって胸がときめく。そんなこととは露も知らない平良はまさか清居が好きでいてくれているとは思っておらず、清居のほうが平良に振り回されてしまい、まさに立場が逆転。動揺して独占欲を出す清居が愛らしく、キュンキュンのボルテージが上がってしまう。 清居が指を平良に舐められるシーンも注目ポイント。怪我した指を舐められるだけなのだが、清居の困惑する表情も可憐で息遣いは色気があってドキドキとさせられる場面だ。美しく尊いラストシーンも含めて、性愛を恋愛の一環として描くところもこの作品の人気が高い理由のひとつだろう。 キャストも演出も映像もクオリティが高く、一度見れば本ドラマがどうしてこれほどまでに支持されるのか納得してもらえるはずだ。日本映画専門チャンネルでは、上記で紹介した「美しい彼~special edit version~」に加えて、同棲生活を送っているその後の2人のようすを描いた「劇場版 美しい彼~eternal~」もともに放送されるほか、『萩原利久&八木勇征 SPコメント』も7月17日(水)深夜0:40より放送されるのでぜひチェックしてみてほしい。 ◆構成・文=牧島史佳