マレーシアのスラム街で生きる兄弟を描く 『Brother ブラザー 富都のふたり』公開決定
マレーシア・台湾合作映画『Abang Adik(英題)』が、『Brother ブラザー 富都(プドゥ)のふたり』の邦題で2025年1月31日よりヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋、テアトル梅田ほかにて全国公開されることが決定した。 【写真】『Brotherブラザー 富都(プドゥ)のふたり』場面写真 本作は、2020年に大阪アジアン映画祭でも上映された『ミス・アンディ』などのプロデューサーとして活躍してきたジン・オングが、自ら監督・脚本を手がけた長編デビュー作。マレーシア・クアラルンプールの荒廃したスラム地区プドゥで、身分証明書すら与えられず、人間としての基本的な権利を奪われて生きてきた兄弟の過酷な運命を描く。 2023年、イタリアのウディネ・ファーイースト映画祭で最高賞を含む3賞を独占受賞した本作は、世界16の映画祭で19の賞を受賞。さらに、台湾とマレーシアでは劇場公開されると約100万人を動員し、マレーシア映画史上、最も国際的に成功した作品に。2025年の第97回アカデミー賞国際長編映画賞のマレーシア代表にも選出されている。 マレーシア・クアラルンプールの富都(プドゥ)地区にある荒廃したスラム街。この地域には不法滞在者2世ともいえる、様々な国籍・背景を持つ貧困層の人々が多く暮らしている。その場所で、身分証明書(ID)を与えられず、兄弟として成長してきた兄のアバン(ウー・カンレン)と弟のアディ(ジャック・タン)。アバンはろうあというハンディを抱えながらも、市場の日雇いで堅実に生計を立てている。一方アディは、簡単に現金が手に入る裏社会と繋がっていて、彼の行動は常に危険を孕んでいる。そんなある日、アディの実父の所在が判明し、ID発行の可能性が出てきた。しかしある事件が2人の未来に重く暗い影をもたらしていく。 ろうあの兄アバンを演じたウー・カンレンは、本作の演技で金馬奨最優秀主演男優賞を受賞。オング監督のプロデュース作品の常連的存在であるジャック・タンが無鉄砲な弟アディを演じた。また、劇中歌として使用されているテレサ・テン「千言萬語」をタンの妻で歌手や女優としても活躍するユン・メイシンが歌っている。さらに、アバンとアディの育ての親として、2人を子供の頃からさまざまな形で支えてきたトランスジェンダーのマニー役でタン・キムワン、社会の底辺に生きる人々に寄り添い、献身的なサポートに尽力するジアエン役でセレーン・リム、アバンに報われることのない思慕を寄せるミャンマー人シャオスー役でエイプリル・チャンが出演している。 あわせて公開されたポスタービジュアルには、幼い頃から兄弟同然に互いに支え合って生きてきた2人の青年が、互いの愛を確認するように抱擁し合う姿が捉えられている。 ジン・オング (監督・脚本)コメント この映画が日本の観客に、マレーシアで起きている現実を理解し、登場人物たちの苦悩を感じてもらえることを願っています。私はよく、どれほど世界が不公平であろうとも、人生が困難になろうとも、心に愛があれば、それがすべてを乗り越える勇気を与えてくれると言います。愛こそが希望をもたらす唯一の力です。このメッセージを観客の皆さんと共有したいと思っています。 いつか日本で映画撮影に参加できる日が来ることを楽しみにしています。それはきっと素晴らしい体験になると信じています。
リアルサウンド編集部