カブスの上原浩治が示すアスリートの正しいブログの使い方
そして、上原のブログを読んでもらった上で、そこに潜む効果をこう分析してくれた。 「上原投手のブログは、目標設定技法に準じた内容であると思われます。その日の投球内容や結果、また感じていたことや思っていたこと、考えたことなどをブログにまとめることにより、次の登板で良いパフォーマンスをするための課題を明らかにし、準備に必要なことを整理しているのではないか」 では、目標設定技法とは何か。以下、伊藤氏が具体的に解説してくれた。 「競技スポーツ選手に必要な心理的スキルの中に『目標設定スキル』があり、これは、目標をいかに効果的に設定できるかといったスキルです」 その目標設定の原理原則には、例えばこんな要素があるそうだ。 ・ 具体的な目標を設定する ・ 現実的で挑戦的な目標を設定する ・ 長期目標より短期目標を重視する ・ チーム目標より個人目標を重視する ・ 勝敗目標よりプレー目標を設定する ・ 目標に対して、その上達度が具体的かつ客観的に評価できるように工夫する そして、原理原則に沿って目標設定することで、以下の効果が期待できるという。 ・ 練習やトレーニングの課題が明確になる ・ 練習やトレーニングに注意を向け、集中できる ・ 練習やトレーニング方法を考え、工夫できる 伊藤氏はさらに、目標設定がもたらすものをこう指摘した。 「練習やトレーニングの質と量を高めることができる、パフォーマンスを向上させることができる、不安を軽減し自信を生み出すということに繋がると言われています」 なお、目標設定のプロセスは、「課題分析」→「目標設定」→「遂行」→「達成度評価」→「課題分析」を繰り返すとのこと。それぞれを簡潔に説明していただいた。 課題分析:パフォーマンス面・フィジカル面・メンタル面などの現状を客観的に評価し、課題を分析する。 目標設定:長期目標を設定し、それを達成するためのステップとなる中期目標や短期目標を設定できるというように、様々な期間での目標を設定できる。 遂行:立てた行動の目標に沿って行動ができる。 達成度評価:一貫性のある客観的な指標を使って評価ができる。 上原のブログを読み込むと、確かに気持ちだったり、制球だったり、何が問題かを分析し、ではどうすべきか、それができたかどうか、その評価が繰り返されており、上記のサイクルに合致する。おそらく上原は経験上、こうした習慣を身につけているのだろう。 さらに伊藤氏は、ブログが口語体で書かれていることにも注目した。