「光る君へ」渡辺大知、“平安のF4”に「同窓会みたいになったら嬉しい」
そして、行成と言えば「書の達人」として知られ、劇中でもたびたび見事な筆を披露。本作で題字と書道指導を担当する書家・根本知をして「渡辺さんはもともとすごく字のうまい方なので、私としては“よくぞこの方をキャスティングしてくださった!”と感謝しています」と言わしめているが、渡辺自身は「書道は未経験で、書くことも苦手」だったという。未経験からどのようにしてアプローチしたのか。
「最初に書道指導の根本先生に行成が書いたものだったり、その時代に書かれたものをいくつか見せていただいて見比べたりしました。書いている時の様子や書で使う文机が絵で残っているので、そういう資料を見せていただいて。それに、書は自分を投影する鏡のようなものだということ、書くという行為は天から下ったものを自分を通して形にするものであるというか、神聖なものであるといったことを教えていただきました。未知の世界ではありましたが、そうした感覚は時代が平安であっても現代であっても変わらないと思いますし、僕も想像することができたので、そういう作業が役をつくっていくっていうことなのかなと」
役づくりを通じて書の奥深い世界に足を踏み入れた渡辺だが「こんなに書道の練習をしているのに、普段文字を書くことにおいては別にうまくなっていないんですよ(笑)。根本先生の書のモノマネがうまくなっただけで。そろそろ自分の字も上達していいんじゃないかと思っていますが、もしかしたら『光る君へ』の撮影が終わる頃に気づいたら“あれ。上手くなってる”なんてこともあるかも(笑)」
大河ドラマに参加する俳優の醍醐味の一つが一人の人物を長い期間にわたって演じることだが、それは渡辺にとってかけがえのない時間となっているようだ。
「行成という人物を演じるにあたって、今まで全く馴染みのなかった平安時代をすごく考えるようになったというか。それはすごく自分にとって豊かな時間で。結局一番大事なのはここなのかなっていう風に思いました。実際のことは見ることもできないし、どれだけ考えても正解にたどり着けないんですけど、その時代に流れていた風みたいなものを想像することで、役者として重要な体験をさせてもらえているなと思っています。それは長いスパンの作品だからこそ、できるのであって」と俳優としてのキャリアにおいて特別な時間を過ごしていることを明かしていた。(編集部・石井百合子)