民進党代表選、前原元外相が出馬表明会見(全文1)自公に代わる選択肢を提示
前原誠司元外相は7日午後5時半から会見し、民進党代表選への立候補を表明した。代表選には枝野幸男元官房長官も立候補の意向を示している。
民進党代表選挙に出馬表明の前原氏があいさつ
司会:はい。それでは民進党代表選挙に出馬の表明をいたしました前原誠司から決意、そして政策を訴えさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。 前原:今日はお集まりいただきましてありがとうございます。よろしくお願いいたします。9月の1日に投票が行われます民進党代表選挙に正式に立候補を表明させていただき、今日、その思いを皆さん方にお伝えする機会をいただいたところ、お集まりをいただいたことに心から感謝を申し上げます。 私が申し上げたいことは2点です。1つは自公に代わる受け皿をつくらなければいけない、選択肢をつくらなければいけない。この1点が私の1つの大きな思いです。もう1つはそれを前提として、今の選択肢にはボトムアップ型、つまりは国民の不安を解消する、政策を打ち出す政党がないということです。この2つをしっかりと民進党、野党第1党として打ち出さなければ、私は党というのは存在する意義さえないと思っています。いろいろと新たな政党ができたり、あるいはわが党の中でも離党者が出たりしていますけれども、ここは地に足をつけて、今、申し上げた2つのこと。自公に代わる選択肢をしっかり国民に提示をするということ。 もう1つはその選択肢というものは国民の目線で、企業をもうけさせて、そしていずれはみんながそれで豊かになるのではないかという失敗をしたアベノミクスではなくて、新たな国民の不安を取り除く、そういう政策でなければならない。そう思っておりますので、その政策というものを今からお話をさせていただきたいと思います。それではお願いします。
政策について
まず、今日お話をしたいことは自公とどう違う選択肢を示すのかということの中で、前回の選挙でもお訴えをしましたけども、「All for All(みんながみんなのために)」、みんながみんなを支え合う社会というもののモデルを日本でもしっかりと提示をし、それを選択肢として国民に選んでいただく。そのことが私は大切なことだと思っています。 成長が前提のときは給与も増えて、そして貯蓄も増えて、小さな政府、自己責任型社会においても国民の生活が成り立ちました。しかし成長が前提とされなくなった、この特に20年間、失われた20年の中において、国民の所得は減り、貯蓄は減り、貯蓄がない世帯が増え、自己責任型社会では成り立たない、そういう日本になってしまいました。特に非正規雇用が1985年には16%台だったのが、いまや4割近く。若い方々は結婚したくても結婚ができない。共働きが多くなって、結婚したとしてもそれでも希望の子供数、理想の子供数が持てない。それが今の日本の少子高齢化、人口減少、地方の過疎化、日本の構造問題を生み出している根本原因です。これをしっかりと解決する選択肢を示さない限りにおいては、野党第1党の責任を果たしたとは私は言えません、言えないと思います。従って自己責任型社会からみんながみんなで支え合う、そういった選択肢をしっかり示すということ。これを今回の大きな柱に私は立てたいと、このように思っております。 このAll for Allという考え方、前回の代表選挙で訴えさせていただき、蓮舫代表から党の正式な調査会としてこの考え方をまとめてほしいと言われて、そして「尊厳ある生活保障総合調査会」というものをつくらさせていただき、半年間かけて中間報告をまとめました。これは誰が代表になろうとも、党として正式に決めた中間報告でありますので、この延長線上に党の考え方をまとめていくということは代表になった人の使命だと思っておりますし、この中間報告をまとめた私自身が代表として最終的に考え方をまとめ、そしてそう遠くないであろう衆議院の総選挙のマニフェストにそれをしっかりと書き込んで、堂々と国民に対してどちらがいいのか、自己責任型社会というものを選ぶのか、あるいは中福祉中負担、そして安心を得られる、そういった社会を選ぶのか。それをしっかりと示したいと、私はそう思っております。 具体的な中身につきましては、中間報告でお示しをしておりますけれども、あらためて申し上げますと、若い世代の方々がやはり結婚したくてもできない、理想の子供数を持ちたくても持てない。それに対する支援というものをしっかりと充実させる。その中核は実質的な教育の無償化というものを就学前教育・保育、そして高等教育においても実質的にやらせていただきたいということであります。またそのときには地域において、さまざまな独自的な施策ができるような、さらなる地域主権というものを進める。こういった施策も併せて示していきたいと思っております。ナショナルミニマムをしっかり定めると同時にさらなる地域の特性というものを地域に委ねる。そういった地域主権の考え方というものをさらに進化をさせていきたいと、こう思っております。 AIとかIoTとかが進んでいくと、これから特にホワイトカラーの方々は、半分近く仕事がなくなるんではないかと言われています。そういった方々の職業訓練、再就職支援というものもナショナルミニマムとして、All for Allの柱として打ち立ててまいりたいと思います。そして何よりも、高齢者が多くなっている中で、将来不安、年金は2040年まで下がり続けます。介護保険を払っても介護を受けられない、施設に入れない。保険あってサービスなしと、こういう状況を正していかなくてはなりません。こういった年金やあるいは介護や、高齢者の不安を取り除くための施策の充実というのも、しっかりとこれからまとめていきたいというふうに思います。 私は、加えてもう1つ申し上げたいのは、障害者に対する施策の充実であります。広義に捉えると、障害のある方々というのは、人口の約1割にも及ぶのではないかという統計結果もございます。誰もが障害を持って生まれてきたいと思って生まれてきた子はいません。今、元気であっても今日、帰りにけがをして、そして障害を持つ可能性を誰でもが秘めています。そういった障害を持つ人たち、あるいは障害を持った人たちが誰とも同じような環境で育てるための、育て、そして生きていくための環境が今の日本で整っているかというと、私はまだまだ不十分だと思っています。全ての人間が全てを支え合う、それには健常者も障害者もありません。そういった施策の充実というものもAll for Allの中核の1つとしてしっかりと充実をさせていきたいと、このように考えております。 最後になりますが、それにプラスをしてわれわれがしっかりとやはり、考えていかなくてはいけない施策というのはいくつかあると、私は思っております。その1つがエネルギー政策であります。今の民進党は旧民進党ではありません。多くの仲間が集まり、新たに民進党ができました。しかし、旧民進党にいたものとして、そして旧民主党にいたものとして、そして何よりも東日本大震災、福島第一原発の事故を経験したものとして、私は原発のない社会をつくっていくことが私の責務だというふうに思っています。野田政権のときにまとめた2030年代、原発ゼロを目指してあらゆる政策資源を投入する。この考え方をベースに原発のない社会というものを着実に、かつ現実的につくってまいりたい、このように考えております。 今、お話をしたことはわれわれが政権を取ったときにしか申し上げられない政策であります。しかし、多くの国民は今の民進党の政策に耳を傾けていただけない、そういう状況というものがあるということを強く認識をしています。今、大事なことは何か。国民に政策を聞いてもらえるような、最低条件でも党が一致団結、まとまり、安定感を持って遠心力から求心力に変わるような、そういう党を、まとめ上げるリーダーをつくらなくてはなりません。 私は今から27年前、28歳のときに京都府議会議員に初当選をさせていただきました。31歳のときに国政に議席を得ることができました。合わせてこの27年間、議員をさせていただきました。国会議員は24年間です。私は、今までの議員生活の全てを投げ売って、心ある同志と共にもう一度この民進党を国民の信頼感を取り戻し、われわれの政策に耳を傾けていただき、この人たちに任せていただこうという党に再生をさせることが私の最大の責務であり、今までの政治生活の全てを投げて打ってその、党再生のために努力をしていきたいと、こう思っております。 これが今日、まず私が皆さん方に申し上げたい私の基本的な理念政策、時代背景、認識、そして思いでございました。あとは皆さん方からのご質問にお答えをする形で、私の考え方をさらに皆さん方にお知りいただければと思っております。どうぞ、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。 【連載】民進党代表選、前原元外相が出馬表明会見 全文2へ続く