「洋画は見ない…」日本の“洋画離れ”に起きた異変。不振だったディズニーは様々な施策が成果出す
そして、この洋画復調の流れは一過性ではなく、この先も継続していくことを予測する。 「クオリティの高い洋画が、“コト”や“エモ”の消費・体験として再び認められた現象であり、多くの若い消費者に『洋画も面白い』という印象を与えました。これは一過性のブームではないと思います。本作が“映画館デビュー”であったお子様が多くいらっしゃったことも、この先の洋画復調に与えた功績は大きいのではないでしょうか」(玉置氏)
■洋画興行全体は明るい話題ばかりではない ただ、そうした明るい兆しがある一方、今年の邦洋の比率はこの夏までで8対2ほど。洋画興行全体としての市場規模は、アフターコロナのどん底からほとんど変わっていない。 著書『アメリカ映画に明日はあるか』で20年間の洋画興行を考察する映画ジャーナリストの大高宏雄氏は「洋画にとって、ディズニーの復調は心強いですが、まだまだの感じはあります」と“ディズニー復調”という言葉に対する物足りなさを指摘する。
「たしかに『インサイド・ヘッド2』はコロナ禍以降、同社初の50億円突破作品になりました。2024年正月の『ウィッシュ』(36億円)、シリーズ最高の『デッドプール&ウルヴァリン』(21億円)も入れると、この3本で優に100億円を超えています。ただ、2023年でも20億円以上が5本ありました。『まだまだ』の意味がそこにあります」(大高氏) 洋画シーンを牽引するディズニーだからこそ、今年の洋画へのいい流れのなかで、前年並み以上の成績が期待される。
同時に大高氏は、今年はこれまでの洋画不況と言われていた近年とは異なることにも言及する。 「洋画の話題作が多かった年だと思います。面白い作品、充実した作品が何本もあり、メディアが多く洋画を取り上げたことも重要です。興行は質的側面が最重要ですが、情報が飛び交うことが必須の条件です」と一定の評価をした。 一方、佐藤氏も今年のディズニー作品の話題性について「世の中のアップワード(話題性の高い流行語)のトレンドにうまく乗れている」と評価し、循環型の宣伝システムを機能させることによる、この先の長期的な成長に自信をにじませた。