「洋画は見ない…」日本の“洋画離れ”に起きた異変。不振だったディズニーは様々な施策が成果出す
しかし、コロナ禍のディズニープラスへの配信シフトの試行錯誤を経て、状況は一変した。アフターコロナでは、期待されたシリーズ大作でも30億円台がやっと。かつての勢いを失ったディズニーのコロナ後の不振は、洋画不況そのものに直結していた。 ウォルト・ディズニー・ジャパンのゼネラルマネージャー佐藤英之氏は、その頃の状況をこう振り返る。 「コロナ禍の後も安定して劇場公開作品の供給を続けることで、ディズニー作品のファンベースはしっかり保ってきていました。ただ、国内の映画マーケット全体としては、いったん冷え切ってしまった影響は大きい。加えて、ハリウッドのストライキの影響で、業界各社でハリウッド作品の供給が細っていたのがこれまでの実情です」
一方、邦画はその間もどんどん作品を供給し続け、コロナ禍の作品不足時には、アニメ大作がシネコンのスクリーンを占拠した。 それ以降、アニメ大作をはじめ、スクリーン占拠が邦画大作のデフォルトの公開形式になることで、一般層の関心はイベント映画に集中するようになる。いつの間にか洋画は蚊帳の外になり、かつては大ヒットが当たり前だったディズニーでは、とくにその不振ぶりが際立った。 そうしたなか、ディズニーにとって実に5年ぶりの50億円台ヒットとなったのが、『インサイド・ヘッド2』(53億円超え)だ。
ディズニーの復活=洋画復興の狼煙に見えるそのヒットの背景について、佐藤氏は「作品のクオリティに尽きる」という。 しかし、それだけでは大ヒットが生まれなくなったのがアフターコロナだ。「50億円到達のためには、現状のディズニーファンを超える新しい層に届かないと難しい」と市場を分析し、地方のファミリー層など子どもたちの開拓と掘り起こしに改めて取り組んでいた。 具体的には、同層への体験型のプロモーションを軸に置き、全国各地のショッピングモールで映画キャラクターのバルーンアート(11カ所)を子どもたちが作るワークショップを実施したり、迷路(5都市)やスタンプラリーといったアトラクション的なタッチポイントを増やした。