BYD・現代が新EV、日本市場で中韓攻勢 東京オートサロンで車好きにアピール
中国の比亜迪(BYD)と韓国の現代自動車が日本への電気自動車(EV)投入で攻勢をかけている。両社は10日、千葉市の幕張メッセで開幕したカスタムカーや関連部品の大規模展示会「東京オートサロン」で新たに発売する新型EVをそろって国内初披露した。BYDの昨年の国内販売は前年比53・7%増の2223台と好調。現代も2割超伸びており、車種の拡充で日本メーカーに先駆けてEV需要を取り込む。 【グラフでみる】“EVバブル崩壊”危機…中国の乗用車販売前年比増減率 ■コスパだけでなく BYDは、昨年6月に国内発売したEVセダン「シール」をベースとするスポーツタイプ多目的車(SUV)「シーライオン7」を今春投入すると発表した。 会見した日本法人の東福寺厚樹社長は、シールの販売で日本市場でのBYDのイメージが「従来のコスパ(コストパフォーマンス)に、プラスしてカッコいいに変わった」と話し、シールの派生モデルのSUVでさらに顧客層を広げたい意向だ。価格など詳細は改めて公表する。 一方、現代自動車は小回りが利き、軽自動車のように日常利用に便利な小型EV「インスター」を発表、10日から予約販売を始めた。価格は284万9千円から。日本に先駆けて投入したインスターの欧州仕様車の航続距離は370キロで、日本法人の七五三木(しめぎ)敏幸社長は国内でも「(このサイズで)驚きの航続距離を提供する」と、充電の不安がないとアピールした。 ■日本市場はチャンス大きい 国内新車市場では、エンジン車に比べて割高な価格や充電の頻度や手間からEVの普及が進んでいない。 ただ、七五三木氏は「日本のマーケットは非常にチャンスが大きい」として、EVによる市場シェアの獲得に意欲を示した。今回は300万円を切る価格と軽自動車並みのコンパクトボディーで、日産自動車の軽EV「サクラ」が開拓した需要を狙っているとみられる。 東京オートサロンは800台を超える改造車やスポーツカーが集結する〝車好き〟の祭典だ。トヨタ自動車は歴代のレーシングカーを展示し、ホンダは23日に発売する「シビックタイプR」の追加モデルを披露。日産も「ファアレディZ」や「スカイラインGT―R」を電気自動車(EV)に改造した「R32EV」を展示するなど、国内自動車大手はいずれもレーシングカーやスポーツカーを中心に出展している。 そうした中で、中韓メーカーは、あえて車好きの集結する場で新投入の市販EVを披露することで、日本勢との差別化を図ると同時に新たな顧客の獲得につなげる狙いだ。