2022年王者が3番手発進。チーム三菱ラリーアート、4台の『トライトン』全車が初日を完走/アジアクロスカントリーラリー
8月12日、AXCRアジアクロスカントリーラリー2024の競技初日“レグ1”がタイ南部のスラタニを起点に行われた。4台の『ミツビシ・トライトン』で同ラリーに参戦するチーム三菱ラリーアートは、103号車を駆るチャヤポン・ヨーター/ピーラポン・ソムバットウォン組が3番手、サクチャイ・ハーントラクーン/ジュンポン・ドゥアンティップ組130号車が5番手につけた。 【写真】田口勝彦/保井隆宏組130号車ミツビシ・トライトン(チーム三菱ラリーアート) さらに107号車をドライブする田口勝彦/保井隆宏組も7番手タイムを記録し、いずれも上位につけている。3台のサポート役を兼ねるAXCR初参戦の小出一登とベテランの千葉栄二のコンビは26番手で、こちらもしっかりと完走を果たした。 6日間で約2100kmを移動するAXCRの競技初日は、朝早くにラリーの拠点となるスラタニのホテルを出発。各車はリエゾンと呼ばれる移動区間を経てスペシャルステージ(SS)のスタート地点へと移動していく。そのスタート地点だがSS1の序盤区間が前日までの雨の影響でカットされたため当初のスタート位置から36.16km進んだ場所に新たなスタート地点が設けられることに。このため同ステージの距離は162.54kmから126.38kmに改められている。 そんな今大会最初のステージは、ぬかるみや岩場のセクションが点在する森の中のグラベル(未舗装路)がメインに。また、見通しがきかないプランテーションのセクションでは直角や鋭角のジャンクションが選手たちを待ち受けた。 11時過ぎ、4台のミツビシ・トライトンはスタート前にシャワーのようなにわか雨があったもののほぼドライコンディションで行われたステージでのアタックを開始する。SS1は中盤でミスコースが多発する難しい展開となり、各選手とも大きくタイムをロスしてしまうシーンもみられたが、そのなかでも早々にミスをリカバリーしたヨーターが1時間29分29秒というタイムでフィニッシュ。トップから2分45秒差の3番手の好位置につけた。 「今日のコースは森の中で非常に難しかった。途中で道をロストしてしまい探していたところ、後ろから来たクルマがちょうど正しい道を見つけたので、ちょっと悔しい思いもした」とレグ1の戦いを振り返った2022年王者。 「現在3番手につけているが、首位の選手からそれほど離れているわけではないので、大した問題だとは思っていない。明日は道のりが長いので、明日からまた頑張りたいと思う」 足回りや動力性能が磨かれた2024年仕様のトライトンの走りについては「サスペンションストロークが長くなったので路面の穴やギャップも問題なく、すごく運転しやすかった」と述べたヨーターは、「昨年仕様と比べると、大きく性能が上がっていると思う」と続けた。 前年優勝チームTOYOTA GAZOO Racingインドネシアの『トヨタ・フォーチュナー』を駆る塙郁夫組を、ヨーターとの間に挟み総合5番手となったハーントラクーンはベテランらしい走りを披露した。また、前車2台を早々にパスした田口はミスコースを喫しつつも7番手タイムでまとめている。トップとのタイム差はハーントラクーンが5分31秒、田口は8分27秒だ。 三菱自動車の社員ドライバーであり今回がAXCR初出場となる小出もミスコースはあったものの、リスクを避けた慎重な走りで最初のステージを26番手で走破。トライトンを無事にスラタニのサービスまで持ち帰ることに成功している。 「初日としてはいい滑り出しだと思います」と語るのは、チーム三菱ラリーアートの増岡浩総監督。「3番手、5番手、7番手、あと小出選手が26番手とほぼ想定内ですね。タイム差も少ないですし、まだラリーは始まったばかりなので、これから面白い展開になってくると思います」 「クルマは昨年のラリーが終わった後、いろいろとディスカッションをして改良を重ねてきました。その成果が出ていると思います。3人の選手からも『乗りやすい』『ハンドリングがいい』という評価をもらっています。もちろんライバルチームも速くなっていますが、我々が改良してきたことが間違っていなかったことは証明できたと思います」 「今日の路面は比較的良かったようですが、悪路になればなるほどトライトンの実力は発揮できると思うので、今後も楽しみですね」 競技二日目の“レグ2”が行われる13日(火)は、スラタニからホアヒンまで今大会最長553kmを移動する一日に。この中に設定されたSS2は後半セクションがキャンセルされたため121kmから75.19kmに短縮されたステージで争われることになっている。 [オートスポーツweb 2024年08月13日]