15歳でふるさと離れ自転車留学した松井優佳 一度は就職活動に励むも…再び運命に導かれガールズケイリン界へ
大学進学で自転車から距離遠のく
実際に大学に進学すると、環境の変化も影響し自転車と距離が生まれてしまう。 「1年生のときのキャンパスに自転車競技部の人がいなくて…。高校の自転車競技で燃え尽きた感覚もあったりして、練習から足が遠のいてしまいました。必要最低限の大会だけ出るような感じでした」 自転車漬けだった3年間の下宿生活を経て大阪の実家に戻った松井。友人と会ったり、スポーツジムでのバイトをしたりと、自転車とは離れた生活を送った。教員免許を取るために教育実習に行くが、教師は志さずに就職活動に励み、ガールズケイリンとは逆の方向へ歩み始めていた。 「教師になるつもりで教育実習に行きましたが、人に物事を教えるのがとても難しく感じて…。私に先生は向いていないと思いました。高校の体育を教えられる資格は持っていますけどね。そういうこともあって、就職活動をしようと思いました」
コロナ禍で転機「もう一度頑張ろう」
しかし転機は突然訪れる。2020年春の新型コロナウイルスの大流行だ。当時大学3年生だった松井は、本格的に就職活動が始まった時期だった。しかし大学の授業もオンラインとなり、心境に大きな変化が起きた。 「2020年は鹿児島で国体(現・国民スポーツ大会)が開催だったんです。(2020年は中止。2023年に延期)。高校時代にお世話になった鹿児島での国体開催だったので、そこに向けてもう一度自転車を頑張ろうと思いました。本当は大学を1年休学して鹿児島へ行こうと思っていたけど、大学の授業がオンラインになったので、休学する必要がなくなりました」 奇しくも人生の針がもう一度ガールズケイリンの方向に向いた。コロナ禍は、松井にとってターニングポイントだったのかもしれない。
「鹿児島に行ってホテル暮らしをしながら、高校時代の仲間と国体に向けた練習をしました。そうしたら高校時代よりタイムがよくなった。これなら選手を目指してもいいのかなという気持ちになりました」 高校時代から仲がよかった山口伊吹や藤田まりあの活躍を目にする機会が増えたことも、ガールズケイリン選手になりたい気持ちを再び加速させた。 「高校卒業後すぐ競輪選手になった2人の存在は大きい。大学時代にプロになった2人とは会う機会があって、(稼ぎがある2人と)買い物にいくとうらやましいなと思うこともありました。これもプロを目指すひとつのきっかけだったと思います」(後編へつづく)