白濁して輝きを失った新米、収穫は4割減。大雨・猛暑ダブルパンチ 秋田・大仙市の農家の嘆き「最悪の出来だ」
国や県などへの取材によると、雄物川からの氾濫による外水の対策は、雄物川本川の管理者である国が実施し、内水対策については支川の大沢川の管理者である秋田県が基本対応する。豪雨当日、国の機関である湯沢河川国道事務所は広域的に支援するため、保有している3台のポンプ車のうち1台を大仙市からの要請により配備した。一方、県担当者に当日の内水の対策を聞くと、「樋門は水田が浸水する想定で国につくってもらったもの。それが前提だった。樋門により雄物川の逆流を防ぎ、家屋には影響しなかった」との回答だった。 湯沢河川国道事務所は「樋門は雄物川からの逆流を防ぐ施設で、ゲートを閉めると降雨が多いときには水田が浸水してしまう可能性も考えられた。支川の管理は県が責任を負うが、国も連携して対策したい」と話した。 また、ハザードマップに関して「7月の大雨での状況を受けて、内水の対策は大仙市が基本対応するものだが、国も支援して避難計画の元となる内水ハザードマップを作成したい」とした
▽枯れる 8月には、追い打ちをかけるように猛暑と大干ばつが起きた。大仙市では最高気温が30度を越える真夏日は30日で35度以上の猛暑日は13日だった。佐々木さんの田んぼでは39度になる日もあったという。そして、雨が降らない。8月中の大仙市の降水があったのは計5日で8月20日~9月1日までは雨が1ミリも降らなかった。 村では小さなため池を使って田んぼに水を入れていたが、猛暑でため池は枯渇。稲に水をかけることができず、枯れてしまったものもあった。佐々木さんは、地域に伝わる獅子舞の踊り手でもあり、部落を一軒一軒回って安全祈願して歩き、周囲を元気づける日もあった。 9月、1年間の仕事の中で一番の楽しみだった収穫の時期を、不安とともに迎えた。13日から稲刈りを開始した。農業体験イベントも開き、近くの大学生などと山奥の土砂崩れあった田んぼの隣の田んぼの稲刈りをし、米を自然乾燥させるハサがけの作業もした。