暗号資産の相続で、まさかの〈税率110%〉…相続財産オーバーの課税額に「なにかの間違いでは!?」「いいえ」【弁護士が解説】
海外法人を使うならば、相続時の税を大幅に引き下げられる
「法人」を使うというと「株式会社と合同会社、どちらがいいでしょうか?」と聞かれます。しかし、そうではなく「日本法人、シンガポール法人、香港法人のどれがいいでしょうか?」ぐらいの広い視野で考えていきたいものです。 まず、日本法人には期末時価評価課税があるので、売り買いをしない(いわゆる「ガチホ」)場合でも税金が発生します(期末時価評価課税は改正によりなくなるといわれてきましたが、国税庁が2023年12月25日に発表した基準によると( 「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(情報) 」 参照)、期末時価評価課税を回避できるケースはほとんどありません)。一方、シンガポール法人や香港法人には、そもそも期末時価評価課税がありません。 また、シンガポール法人や香港法人の場合、損失の繰り越しが制限なく認められます。そのため、子に相続させる法人の価値(「暗号資産の価値」から「債務」を引いたもの)を、予想以上に引き下げることができます。 もちろん、海外法人に暗号資産を移したあともトレーディングは可能です。日本ではできないデリバティブ取引もできるので、自分だけのクリプトファンド、いわば「ひとりクリプトファンド」を運営する感覚で楽しめます。 このように、海外法人を使うことで得られるメリットはとても大きいのです。
海外移住してから海外法人に譲渡→自身にかかる所得税もゼロに
さらに、節税する方法があります。 上記に、個人から法人に暗号資産を譲渡する際「(1)暗号資産投資で利益が発生している場合、この時点で所得税納付は必要」と書きましたが、海外移住してから法人に譲渡すれば、この所得税を回避できます。 このメリットは、別の記事 『日本の税金は高すぎる…暗号資産投資家「最高55%」の課税を合法的に回避する「海外移住」という選択肢』 で書いたので、ぜひお読みください。 いずれにしても、親が遺した財産でわが子を苦しめたくはありません。いつ何が起こるかわかりませんから、念のための準備をしておきましょう。 小峰 孝史 OWL Investments マネージング・ディレクター・弁護士
小峰 孝史,OWL Investments