大谷翔平、メジャー全体が投高打低の今季、驚くほどの打撃成績で掘り起こされる歴史的記録
前半戦を終了し、大谷翔平が歴史的なシーズンを送っています。ドジャースは6月25日に前半81試合を終え、ちょうど100勝ペースの50勝31敗でした。貯金19でナ・リーグ西地区首位を独走。ドジャース移籍1年目の大谷が原動力となっています。 【イラスト】大谷翔平、打撃成績 何しろ、打率、本塁打ともリーグトップで打撃3冠を狙える位置にいます。2012年、タイガースのミゲル・カブレラが45年ぶり3冠王に輝きましたが、ナ・リーグでは1937年のジョー・メドウィックを最後に3冠王が出ていません。 前半だけで24本塁打、99安打を放ちました。年間50本塁打、200安打近いペースで量産。メジャー史上「50本塁打&200安打」は1921年のベーブ・ルースをはじめ、30年のハック・ウイルソン、32年のジミー・フォックス、2001年のアレックス・ロドリゲスと4人しかいません。 今季は走塁改革の成果が出て、前半だけで16盗塁をマークしました。パワーとスピードを兼ね備えた超エリートであるバリー・ボンズら史上12人目の「40本塁打&30盗塁」どころか、史上初の「50本塁打&30盗塁」も可能です。 さらに特筆すべきはリーグ最多の196塁打と47長打です。この驚異的なペースで行くと、夢の400塁打、100長打到達も可能です。メジャー史上「400塁打」はのべ29人、「100長打」はのべ15人いますが、「400塁打&100長打」を同時に達成したのはのべ13人しかいません。 その中で2000年にトッド・ヘルトン(ロッキーズ)、翌01年にボンズ(ジャイアンツ)、ルイス・ゴンザレス(ダイヤモンドバックス)、ヘルトン、サミー・ソーサ(カブス)と、一気に5人も誕生しました。これは筋肉増強剤、いわゆる「ステロイド時代」と、ロッキーズの「バッター天国」と言われる本拠地球場が影響したと思います。 ちなみに、00年のメジャーは1試合平均15.05塁打、01年は14.60塁打でした。それに比べて、今シーズンは投高打低で13.20塁打しか出ていません。また、今季メジャーの平均打率は2割4分2厘まで下がり、1969年に投手のマウンドが低くなって以来、最も低くなりました。1試合平均の本塁打数も1・06と、15年以来最低の数字になっています。 今季より低い1試合平均の塁打数で400塁打を達成したのは、1933年ジミー・フォックス、48年スタン・ミュージアル、78年ジム・ライスの3人だけ。そのうち、100長打も同時に達成したのは「ザ・マン」ことミュージアルだけです。そう考えるだけでも、現在の大谷はとんでもない成績をマークしていると言えます。 投手有利なドジャースタジアムを本拠地とする大谷が、これほどの打撃成績を残すというのは全くもって信じられません。これまで投打の二刀流で2度もMVPに輝いた時とは違った、新たな歴史的シーズンと言っていいでしょう。 【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)