メイウェザーに死角無し。世紀の一戦。山中、井上ら世界王者の予想は?
若き“天才”、WBO世界Sフライ級王者の井上尚弥(大橋)もメイウェザーに死角無しと見ている。 「予想としたらメイウェザー。パッキャオは、おそらく1ラウンドから出てくるでしょう。メイウェザーも下がるのではなく圧力をかけて止めにくると思うんです。マイダナ戦のときのようにロープまで下がってしまうとパッキャオが勢いにのります。メイウェザーは動きながら、どうパンチを当てていくかを考えてくると思うんです。とにかくメイウウェザーは、相手の動きを見て、どう攻めて、どこにポジショニングをして、どう守るかをインプットする作業が凄く早い。前半でメイウェザーが展開を作れれば、後半に入れば、今度はパッキャオの体力が残っているのかという問題も出てきます。ただファンも、僕自身もパッキャが倒すシーンは見てみたい。もし勝つならば、早いラウンドの鋭いステップインからの一発。右フックか左ストレートか。それが当たれば、終わるケースも考えられますが、冷静に考えればメイウェザーのフルラウンドの判定勝利じゃないですか」 理論派として現役時代から評判だった元WBA世界Sフライ級王者の飯田覚士氏の予想もメイウェザー。 「リーチなど体格差で勝るメイウェザーが距離を支配するでしょう。素晴らしい反応とポジショニングでパッキャオを中へ入れさせないように右アッパーなどカウンターを合わせてポイントを加算していくと思います。一方のパッキャオの武器は、高速の回転力。序盤にいいパンチを当てて流れを引き寄せたいので仕掛けてくると考えます。頭を下げて低い位置からサウスポーの利点を生かしたノーモーションの左などを使ってロープにつめて連打で突破口を開きたいのでしょうが、その回転力をもってしてもメイウェザーをつかまえることは難しいと見ています。全盛期のパッキャオの運動量ならば、当てることはできたと思うのですが、そこは差し引かねばならないでしょう」 世界王者にはなれなかったが、現役時代に、メイウェザーなみの紙一重で、見切るディフェンス技術で「ディフェンスマスター」と異名をとった元Lフライ日本王者の本田秀伸氏さんも「塩漬けのメイウェザーをパッキャオが破壊できるかどうか。おそらく無理でしょう。メイウェザーの反応には衰えはなく、今のパッキャオが間をつめ、得意の回転力を生かすことは難しいかもしれません」という見方。日本のトップボクサーの大方の予想は「メイウェザーの判定勝利」で一致していた。 パッキャオは、フライから実質8階級も上げてきたという体格差と、メイウェザーのリスクを負わないボクシングスタイルに加えて、3年前にファン・マヌエル・マルケスに衝撃のKO負けを喫して以来、パッキャオが、かつての破壊力を失ったとも見られていて、そのあたりを加味すれば、メイウェザー有利の予想が立てられるのも仕方のない流れだろう。だが、パッキャオは過去にマルコ・アントニオ・バレラ戦、オスカー・デラホーヤ戦と、圧倒的不利という下馬評を覆して数々の番狂わせを実現してきた。多くのパッキャオファンが、「もしかしたら」と、奇跡が起こることに期待しているからこそ、この試合が「世紀の一戦」としての全世界の注目を集めているのかもしれない。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)