矢吹正道が2年7カ月ぶりの世界王者 アキレス腱断裂を乗り越え栄冠 ライトフライ級は卒業へ【ボクシング】
ボクシングのIBFライトフライ級タイトルマッチが12日、愛知県常滑市の県国際展示場で行われ、元WBCライトフライ級王者の挑戦者・矢吹正道(32)=LUSH緑=が、王者のシベナティ・ノンシンガ(南アフリカ)に9回TKO勝ち。2年7カ月ぶりに世界王座に返り咲いた。矢吹の通算戦績は21戦17勝(16KO)4敗。 ◇ ◇ ◇ コーナーに駆け上がった矢吹が、両手を突き上げた。昨年5月の左アキレス腱(けん)の断裂を乗り越え、負けたら引退の決意の背水の陣でノンシンガから3度のダウンを奪って完勝。2年7カ月ぶりに世界のベルトを抱いても、固執はしない。歓喜のリング上で次のプランをぶち上げた。 「階級を上げて、オラスクアガ選手とやりたいです」。14日に防衛戦を控えるWBOフライ級王者を標的に挙げた。 愛する家族からエネルギーをもらった。9月に行われたジュニア世代のボクシングの全国大会で、長女の夢月さん(14)が3連覇し、長男・克羽君(11)も初めて頂点に立った。 次は自分の番。子供を見守るスタンスは失敗OK。合言葉は「次、頑張れよ」。自分自身も寺地拳四朗との2戦で世界のベルトを奪い、再戦で失った。どうはい上がって、前に進むか。父親として最高の手本になった。 控室で改めて、初防衛戦を待たずにライトフライ級を卒業する方針を表明した。32歳。キャリア終盤なのは分かっている。「モチベーションが上がらない選手とやっても…。オラスクアガ選手となら、打ち合って盛り上がる」。ベルトを手放してでも、胸躍る舞台を追い求めていく。
中日スポーツ