都市型高級スーパー「成城石井」が、東北の「生協」を選んだ理由
仙台市宮城野区の「みやぎ生協鶴ケ谷店」には、成城石井の特設コーナーが設けられた
宮城県内の生協で、4月から高級スーパー・成城石井(横浜市)の特設コーナーの設置が進められている。東北地方に店舗がない成城石井。仙台の利用者には「まるで生協の中に専門店が出来たよう」と売れ行きも好調だという。都市型高級スーパーの成城石井が、東北の生協で商品を販売し始めたのはなぜなのか。その狙いを探った。
6割が「成城石井」を知っていた
4月9日に新装オープンした、仙台市宮城野区の「みやぎ生協鶴ケ谷店」。サービスカウンター近くに設けられた特設コーナーには、赤い「成城石井」の旗やロゴが至るところにあり、緑を基調としたみやぎ生協の店内で一際目を引く。この特設コーナーでは、ココナッツオイルや水ようかんなどの嗜好品がよく売れているという。 コープ東北サンネット事業連合(仙台市)は、4月から傘下のみやぎ生協(仙台市)で店舗の改装や新規オープンに合わせ、成城石井の特設コーナーを設置し始めた。現在特設コーナーは仙台市内の鶴ケ谷・高森・新寺・太子堂の4店舗に設置されており、コープ東北は今後、宮城県内の店舗に展開し、ゆくゆくは東北各県のグループ生協に販売を拡大していきたい考えだ。 コープ東北・店舗開発部の尾形勝部長によると、質の高い商品にこだわる生協の消費者と、高品質の成城石井の商品のニーズが合い、特設コーナーの設置に至った。成城石井の店舗は東北地方にないが、事前に生協の組合員を対象に調査したところ、6割が「成城石井」のことを知っていたという。もともと東京から転勤で来る人が多いという土地柄に加え、東京のテレビ番組で紹介されていたことで、消費者の関心は高かった。これまで仙台の消費者は、成城石井の商品をネットや東京の友人に頼んで送ってもらったりしていたのだという。 特設コーナーには、約50品の成城石井の商品が並ぶ。生協の他の商品より割高だが、消費者に好評でリピーター率が高く、「まるで『成城石井』の専門店が生協に出来たみたい」という声もあったという。尾形部長は「プレゼントや自分へのご褒美として買ってもらえたら」と話す。