「徐々に倒壊していく家も」「ダークツーリズムのようになってる」 能登“進まぬ復旧”の現状、ボランティア不足への対策は
■ボランティア人員と仕事がマッチしきれていない状況も
「災害NGO結」は、発災翌日の1月2日から現地入り。七尾市を拠点に、ベースや物流、炊き出しなどの班に分かれ、これまでに約2500人が活動してきた。前原土武代表は「能登半島という立地と、元々人口が少なく、土木や解体、大工、水道設備、精密機械などすべての業種が少ない所が被災している。外から入ってもらわないといけないが、宿泊する場所がない。七尾市の下のほうだと復旧は進んでいるが、そこから通うのにも1~2時間かかってしまう」と説明する。 災害ボランティアセンター経由の発生3カ月の参加のべ人数を見ると、東日本大震災が約43万人、熊本地震が約10万人だったのに対して、能登半島地震は約1万4000人。前原氏はボランティア不足の理由として、コーディネーターがいないこと、人員と仕事がマッチしきれていないこと、専門的知識が必要な場所で人が足りていないことをあげる。 「リディラバ」代表の安部敏樹安部氏は「1、2カ月前、例えば七尾市では市長が個人の携帯番号を書いて、“なにかあったら俺に連絡をしてくれ”と。(当時は)あれこれ言っても、行政機関がちゃんと上にあげて処理されているか、情報が統合されているかわからない。組織と指揮命令系統としてはかなり厳しい状態だった」と指摘。
石川県の創造的復興プラン(仮称)骨子では、9年後(2032年度末)をめどに段階的に復興、単なる復旧ではなく創造的復興を目指すとしている。2年後(2025年度末)までに、罹災証明「半壊以上」の建物の撤去完了等が目標となっている。 安部氏は「大震災の復旧・復興は続いていく。10年どころか15年、20年続くもので、福島も中盤戦ぐらいだ。そのマネジメントのノウハウは正直、ほとんどの自治体は持っていない。とにかく今やらなくてはいけないことがいっぱいあって、自分たちの仕事を頑張っているものの、10年後に振り返ると“うまくいっていなかった”と評価されてしまう状況に向かいつつある」との懸念を示した。