若月佑美、舞台で演じる天狗的美女“弁天”を語る「敵か味方かわからない人ってすごく魅力的」
「自分で自分に後悔しない」「どうせみんな死ぬ」というモットー
――先ほども少しお話に出てきたように、矢三郎たち下鴨家には五山の送り火に納涼船を出すという夏の恒例イベントがありますが、若月さんの今年の夏の思い出は? 若月 秋元真夏ちゃんと高山一実ちゃんとかき氷を食べに行ったんですけど、13時に予約をして、そこから6時間待って19時にかき氷を食べました(笑)。 ――予約するときになるべく早い時間を予約しようとして、そのとき既に一番早いのが19時だったと(笑)。 若月 そうなんです。本当は16時くらいには食べているイメージだったんですけど、まさかの19時で。その後に夕食の予定を入れてしまっていたので、おなかがパンパンになりながら20時半からの夕食に行きました(笑)。 ――「有頂天家族」には矢三郎の父である下鴨総一郎の「面白きことは良きことなり」という家訓のようなセリフがありますが、何か若月家に家訓ってありましたか。 若月 家訓はなかったですけど、父にはよく「楽しんで」って言われていましたね。それは何に対してもで、例えばオーディションに合格したって話したときにも、「頑張れ」とか「負けるな」じゃなくて「楽しんで」って返ってきますし、逆にグループ時代は私が選抜に入れずにアンダーだったときも、「アンダーという場所の自分を楽しんで」って返ってくるんですよね。それがすごく助かるといいますか、やっぱり「頑張って」って言われると、もっと頑張ろうとし過ぎてパンクしちゃうこともありますし。 悲しいときでも「楽しんで」って言われたら、「この悲しい気持ちすらも、人生で考えたら今しか味わえないことだな」って、そういう切り替えをさせてくれたのが父の言葉だったので、「楽しんで」というのは自分の中で大事な言葉です。 ――では、若月さん個人で持っているモットーは? 若月 1つは「自分で自分に後悔しない」。結果がどうであれ、自分が後悔していないんだったら全然前に進めるなって気付いた時期があったんです。例えばオーディションで、自分がそのときに出せる全てを出せていたら、落ちたとしても「今自分が出せる全てを出して至らなかったんだな」って思えるんですけど、出し切れなかったときに落ちてしまうと「何であれができなかったんだろう」とか「もっとやれたのに」っていう、自分への負の感情が出てきてしまうんです。だったら何に対しても自分で自分に後悔しないように行動して、その結果よりも自分がやったことを信じていれば前に進めるなって思ったんです。 もう1つは「どうせみんな死ぬ」という、極論ですけど(苦笑)。どんなに偉い人やお金持ちにも、今どん底で這いつくばっているような人にも、平等に同じゴールが待っているわけじゃないですか。これをポジティブな意味で持っておくと、例えば「髪の毛を切りたいな。でも似合わなかったらどう思われるかな」って考えてしまって一歩踏み出せないときも、「どうせみんな死んじゃうんだから、自分のことなんて覚えてないし、全てがゼロに消えるんだったらまあいっか」って楽観的になれて、一歩踏み出す背中を押してくれたりもするんじゃないかなと思います。 ――では最後に、今作の上演を楽しみにしているファンの方へメッセージをお願いします。 若月 今回の「有頂天家族」はすごくワクワクする演出だなと台本を読んだときから思っていて、それが舞台の上で形になったときにお客さんにしっかり伝わればいいなと思います。本当に森見先生の世界観や言葉のチョイスが素敵なので、私たちがそれを体現できるように頑張るのはもちろんですし、現実から一歩離れて何か物語の世界に飛び込んでみたいという方がいらっしゃったら、原作を読んでいなくても楽しめると思うので、ぜひ劇場に来てもらえたら嬉しいです。 取材・文・撮影/須田紫苑
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