12歳でプロになった女流棋士 結婚を機に臨むさらなる高み 「とにかく将棋が好き」
将棋の世界といえば、男性がほとんどというイメージがありますが、日本将棋連盟によると、現在、現役女流棋士は72人が在籍しています。そして、トップクラスの女流棋士の年収は、解説やイベント出演などを含めると1000万円を上回ることも。最近では、全国的に将棋教室に通う女性の数も増えているそうです。今回は、そんな将棋女子たちが憧れる女流名人、第50期女流名人戦で3期ぶりに首位奪還を果たした福間香奈さんにお話を伺いました。 【写真】制服姿が初々しい福間女流棋士 キャリアでもっとも印象に残っている対局時の姿 実際の写真 ◇ ◇ ◇
「課題や反省点もありますが、自分の良さを出せた」
福間さんは、日本将棋連盟(関西本部)所属の女流棋士。2004年10月、12歳で女流2級としてプロ入りを果たしました。 2023年までは旧姓の里見香奈で活動していましたが、結婚を機に今年から福間姓で活動することを、日本将棋連盟を通して発表しました。 ――この度は、女流名人就位おめでとうございます。今年の1月から始まった第50期女流名人戦を振り返って、どんな戦いでしたか? 「非常に充実感のある対局でした。一手一手を作り上げていく勝負の将棋と申しますか、AIを使って行われる定跡解析ではない、力技の対局となりました。もちろん課題や反省点もありますが、自分の良さを出せたと思います」 ――今回は、第1局、第2局、第4局で福間さんが勝利されましたが、対局相手の西山朋佳さんの印象はいかがでしたか? 「今回の番勝負は、力戦型が主でした。そんな中で鋭く切り込み、長い戦いも苦にされない西山さんとの番勝負は充実感がありました」
6歳で将棋を始め、わずか12歳でプロに
――6歳から将棋を始められたそうですが、何がきっかけだったのでしょうか? 「父が兄に将棋を教えていたので、それを横で見ていて覚えました。兄がいたから続けられたと思います。ときには、父と兄と三人で大会に出ることもあったのですよ」 ――将棋の世界は男性社会という印象がありますが、当時は女性で将棋を指す人は少なかったのではないですか? 「12歳でプロになった当時、女流棋士は50名程度だったと記憶しています。今は、引退した棋士も含めると100名近くに増えているのではないでしょうか。本当に増えたな……と感じますね。昔は、勉強会に出るのにも、男性ばかりで部屋に入るときに緊張しましたし、勇気も必要でしたが、少しずつ変わってきて参加しやすくなりました」 ――長いキャリアの中で一番印象に残っている対局は? 「2008年11月、16歳の時に第16期倉敷藤花戦で初タイトルを取った対局です。倉敷での開催でしたが、地元に近かったので、家族みんなが応援に来てくれて、喜んでくれました」 ――福間さんご自身は、毎日、どのくらい将棋に時間を費やしているのでしょうか? 「体力のあった20代前半くらいまでは、毎日一日中やっていましたが、年齢とともに疲れやすくなってきて、女流棋士が増えて対局の数も増えたため、今は、休むというバランスも大切にしています」 ――休日はどう過ごされるのですか? 「将棋以外は、マッサージや温泉に入るなど、身体を癒すことをしています。風邪などで体調を崩すと時間を無駄にしてしまうので」 ――対局中のエネルギー補給には何を召し上がっていますか? 「フルーツの盛り合わせが多いです。対局中は座りっぱなしで、口を動かすこともありません。誰かと会話することもほとんどないですし、口を潤すためにフルーツをいただいていますが、緊張しているので、味わうことまではできません(笑)」