セブンが外為法「コア業種」に、どうなる買収提案、カナダ同業による“買収の障害”となるのか
カナダのコンビニエンスストア大手、アリマンタシォン・クシュタールから初期的な買収提案を受けているセブン&アイ・ホールディングス。財務省は9月13日、セブン&アイを外国為替及び外国貿易法(外為法)上のコア業種(コア業種に属する事業を営んでいる会社)に分類した。 【写真】セブングループのアメリカの店舗 外為法は、国の安全等で問題となる場合に対処するために、外資による国内企業への投資を一部規制している。 セブン&アイはこれまで、3分類のうち2番目の「指定業種のうち、コア業種以外の事業のみを営んでいる会社」だった。外国企業がこうした会社の株式を1%以上取得する際は、原則として国に事前届け出が必要になる。事前届け出が免除されるには「非公開の技術にアクセスしない」や「取締役に就任しない」などの規定を満たす必要がある。
■政府は株式売却命令を行うことも 今回セブン&アイが格上げされたコア業種では、前出の規定に加えて「重要な意思決定権限を有する委員会等へ参加しない」、「取締役会に期限を付して書面で提案を行わない」などの規定も遵守する必要がある。株式取得後も事後報告を求め、違反があった場合、政府は株式売却命令を行うこともできる。 なお、セブン&アイのポートフォリオのうち、何の事業がコア業種に指定されているのか、財務省の担当者は「回答できない」としている。
セブン&アイ担当者は「今年6月に財務省から全上場企業に照会があり、その回答を踏まえ、財務省がコア業種に指定した」と話す。 一部メディアで「セブン&アイがクシュタールからの買収提案後に、コア業種への格上げを申請した」と報じられていたが、セブン&アイ側は「回答したタイミングは言えない」としている。 クシュタールは買収提案について、大幅な価格引き上げも検討しているようだが、買収の実現には価格のみならず、国内外の当局による規制をどう突破するかが課題となりそうだ。
冨永 望 :東洋経済 記者