〝日本一長い私道〟災害時に活用 UBE三菱セメントと県警が協定【宇部】
UBE三菱セメント宇部セメント工場(村山亮一工場長)と県警は27日、災害発生時における宇部伊佐専用道路の通行に関する協定を結んだ。災害警備活動を迅速、円滑に進めるため民間企業の私道を有効活用するのは全国初の連携だという。 昨年に美祢市を襲った豪雨災害や元日の能登半島地震では道路が損壊し、警察車両が被災地に向かうのに困難を極めた。その対策として県警が同社に提案して協定締結が実現した。 同社が所有する宇部伊佐専用道路は、宇部セメント工場と美祢市の伊佐セメント工場を結ぶ全長約32㌔の日本一長い私道で、セメント原料などを輸送している。1968年から順次部分供用され、82年の興産大橋(全長1020㍍)の完成で全線開通。 通行する際は、通常の運転免許だけでなく社内の講習会を受講してライセンスを取得することが義務付けられている。一般車両の通行は禁止されているが、今回の協定により、災害で県内の一般・高速道路が走れなくなった場合、被災地に向かう警察車両などの通行を可能とした。 県警本部で行われた締結式には、同社の村山工場長、中川克典副工場長、吉富健治宇部物流課長、県警の坂本英治警備部長、田村和之警備課長、金子光男災害対策官の6人が出席。協定書に署名した村山工場長は「日ごろ私たちが使用している専用道路が地域社会における危機管理の一翼を担うこととなり、身が引き締まる。協力体制を強化していく」と力を込めた。坂本警備部長は「普段からさまざまな事態を想定し、災害警備体制を整えておく必要がある。災害発生時には迅速な連携の下、県民の期待と信頼に応えたい」と話した。