中国は「ハイブリッド」で世界の自動車覇権を握るのか!?
実は昨年の世界新車販売で279万台をマークし、BYDに次ぐ11位となったジーリーが、5月31日に仏ルノーと共同出資した新会社ホース・パワートレーンの設立を電撃発表したのだ。「ホースは約1万9000人のスタッフを雇用し、ハイブリッド用の高効率エンジン、カーボンニュートラル燃料(合成燃料、水素、バイオ燃料など)に対応するエンジンなどの開発や生産を行ない、約130ヵ国に製品を供給すると発表しています」 リアルな話をすると、世界新車市場はエンジン車とハイブリッド車で8割を占めている。一方、EVは充電環境などの問題があるため、急激に需要が鈍化。栄華を極めた中国市場も"EV墓場"が登場するなど頭打ち。 「実はジーリーとルノーは2040年になっても世界市場の半分以上がエンジンを搭載していると予測している。ジーリーの創業者である李書福会長も『ハイブリッド技術のグローバルリーダーになり、世界中の自動車メーカーに低排出ガスソリューションを提供する』と語っています」 ■日本勢3社も開発中の新エンジンを披露 昨年、世界新車販売でハイブリッドは約421万台(前年比29%増)、PHEVは約392万台(前年比46%増)をマークしている。今年に入ってもその勢いは止まらず、世界中でハイブリッド車が飛ぶように売れている。 つまり、"自動車強国"を掲げる中国は世界新車販売でさらなる高みを目指す上で、ハイブリッド覇権を握る必要があると踏んだ。もっと言えば、これまで日本と欧米が握っていた自動車覇権に中国が本格参戦してきたのだ。そして、中国市場が恐ろしいのは自国の販売だけで世界ランキング上位にアッサリ食い込めること。 そこで気になるのはハイブリッドで世界市場を席巻してきたニッポン勢の動き。実は5月28日にトヨタ、スバル、マツダが試作エンジンをそれぞれ披露した。 関係者によると、これらの次世代エンジンはどれも電動ユニットと組み合わせることを前提としており、これまでのエンジンと比較すると、高効率で高出力を誇るエンジンでありながら、従来よりコンパクトに仕上がっているという。期待度ギンギンで、日本勢もシッカリ対応しているようだ。 しかし、安心はできない。専門家によると欧米の自動車メーカーもハイブリッドシフトを鮮明にしており、水面下では急ピッチで開発が進んでいるという。事実、あの独ポルシェも911に史上初となるハイブリッドモデルをブチ込んできた。 要はこれから各社が肝いりで開発した"シン・ハイブリッド"が続々と市場に投入されていくってわけだ。ニッポン勢よ、世界ハイブリッドシフトに乗り遅れるな! 取材・文/週プレ自動車班 写真/時事通信社 写真提供/ジーリー ルノーグループ トヨタ自動車