「自分の責任」「本当に悔しい」。日大藤沢のU-19日本代表MF布施克真は敗戦を成長への大きなエネルギーに
[11.3 選手権神奈川県予選準決勝 日大藤沢高 0-0(PK2-4)東海大相模高 ニッパツ] 【写真】「全然違う」「びびるくらいに…」久保建英の9年前と現在の比較写真に反響 「自分のPKで負けてしまって……悔しい気持ちと、試合中でも自分たちのプレー出せずにそのままPKまで持っていってしまったんで……(県準決勝で桐光学園高に0-3の敗戦を喫した)インターハイの悔しさから死ぬ気でやってきたつもりですけど、足りなかったのかなっていう風に思います」 選手権神奈川県予選で3連覇を目指した日大藤沢高は準決勝で敗退。U-19日本代表のMF布施克真(3年=横浜F・マリノスジュニアユース出身)は、敗因の矛先を自身に向けていた。 10番を背負い、ボランチを務めた布施は右へ、左へとボールサイドに現れて攻守。球際で非常に無理のきくMFは、失いかけても粘り強くキープし、速攻ではドリブルで一気にボールを運ぼうとしていた。 ただし、この日は東海大相模高MF高畑旺崇(3年)にマンツーマン気味につかれ、速攻の際にも相手の10番MF沖本陸(3年)に背中側から執拗にプレッシャーを掛けられてしまう。「『アイツ(布施)には絶対やらせないぞ』っていうのは話してました」(MF長井隆之介主将、3年)という東海大相模に徹底的にマークされ、苦戦を強いられた。 「自分の強みは色々なところに動いて、そこで顔出してリズムを作るっていうところなんで、そういうところは今日もできたのかなっていう風に思いますけど、いつもより全然足りてなかったし、自分の中では全然良い試合にはできなかったです。(マンツーマンで来られても)自分はそういうところを崩して行かなきゃいけない選手なんで、それができなかったのが悔しいです」 特長も出していた布施だが、冷静さを欠いて単独で行ってしまったり、逆に自分で行くべきところでボールを大事にし過ぎたりしたことを反省。決定的な役割をする部分も含め、課題の残る100分間になった。0-0で迎えたPK戦。布施は2番目のキッカーを務めたが、方向を読まれて失敗してしまう。相手にリードを許し、そのまま敗れる結果に。敗戦が決まると、布施はピッチ上に倒れ込み、両手で顔を覆った。 布施は日大藤沢1年時にU-15日本代表候補、昨年は6月にU-16日本代表に選出され、その後、U-17日本代表へ個人昇格。ボランチと両サイドバックでハイレベルなプレーができる万能性や、強度の高さなどを評価された布施は、11月のU-17ワールドカップメンバーにも選ばれた。今年は1学年上の選手が中心だった日本高校選抜の一員として、ドイツ遠征(3月)を経験。9月には高体連の選手で唯一U-19日本代表に選ばれ、U20アジアカップ予選を戦った。同大会のU-19トルクメニスタン代表戦ではクロスからゴールをアシスト。結果を残すことにも成功した。 キルギスでのU20アジアカップ予選の疲れの影響はなかったという。だが、この日は会場に来るまで「(緊張感を持っていたが、)少しいつもと違って、フワッとしたまま会場に来てしまったのかなっていうのは自分では感じていて……」。日大藤沢は県1部リーグで12勝1敗と首位を独走中。8月の和倉ユース大会では鹿島ユースや神戸U-18、米子北高というプレミアリーグ勢を倒して頂点に立っている。選手権の目標は全国制覇。県予選の3連覇が簡単ではないことを理解しつつも、どこか先を見すぎるところがあったのかもしれない。 佐藤輝勝監督は試合後、選手たちに向けて「(試合展開も、PK戦も)コーチである自分の責任」と話してくれたというが、布施は自分たちで試合の流れを変えられなかったことを悔しがる。そして、「中でも、中心としてプレーしてた自分の責任だと思うので、監督はそう言ってくれたんですけど、自分の責任かなと」。自分を成長させてくれた日大藤沢への感謝は大きい。だが、チームを引っ張るべき存在の自分が最後の選手権でチームに貢献できなかった。 「やっぱり自分がここまで成長できたのも日藤のお陰だし、自分1人じゃ全然この1年間もここまでいいチームにはできなかったと思うんで。この1年間必死についてきてくれた仲間には感謝していますし、逆に最後、自分のせいで負けてしまったっていうところで、自分が1番この1年では周りに目が行きすぎて、自分のことを考えられてなかったのかなっていうに思っていて……。代表の活動に行ってたっていうのもあるし、3月にはドイツ行って、高校選抜で1個上で試合に出たっていうのもあって、自分の中で何か慢心していた部分があるのかなと反省しています」 負けた経験を糧に、これから恩返しできるように日常を過ごしていく。「ここで負けてしまったっていうのは本当に悔しいですけど。ここで下向いてちゃ絶対いけないと思うし、自分のサッカーキャリアの中でこの悔しさっていうのは、逆に言ったら、いい意味で捉えたら凄い大きいものだと思うし、ここで成長できればまたもっと良い選手になって、もっともっと大学行っても、どこ行っても活躍できるような選手になれると思うんで、この敗戦からしっかり自分の課題を見つけて、受け止めて、自分の成長に繋げられるようにやっていきたい」。今の自分の使命は県1部リーグで優勝し、日大藤沢をプリンスリーグ関東2部へ昇格させること。それを達成し、次のステージで必ず飛躍を遂げる。