価格転嫁率は40.6%、価格転嫁は伸び悩み
サプライチェーン全体に関わる『運輸・倉庫』の価格転嫁率、27.8%と低水準続く
価格転嫁率を業種別にみると、価格転嫁率が高い主な業種では、「化学品卸売」(62.4%)や「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売」(60.6%)などで6割を超えた。他方、低い業種では一般病院や老人福祉事業といった「医療・福祉・保健衛生」(13.0%)や、「娯楽サービス」(17.1%)、「金融」(18.2%)などで2割を下回った。 また、サプライチェーン全体に関わる『運輸・倉庫』(27.8%)は価格転嫁の進展がみられるものの、依然として2割台にとどまっており、企業からも「荷主からの二次請け三次請けが普通であり、荷主に対し直接値上げ交渉ができない」(運輸・倉庫)といった声が寄せられている。
価格転嫁は次のステージへ、人件費などの着実な転嫁がカギに
本調査の結果、自社の商品・サービスのコスト上昇に対して、7割を超える企業で多少なりとも価格転嫁できていることが分かった。 しかし、その価格転嫁率は40.6%と前回から3.0ポイント後退し、依然として企業負担は6割近くにのぼっている。 価格転嫁に対する理解は醸成されつつあるものの、原材料価格の高止まりや他社への説明が難しい人件費の高騰などに対し、取引企業との関係上これまで以上に転嫁の実施が難しいことが浮き彫りとなっている。 加えて、これ以上の価格転嫁を進めてしまうと、消費者の購買力の低下による景気の低迷につながることも危惧されている。人件費など目に見えにくい単価の上昇分を、いかに見える化して説明するかへと、価格転嫁のステージが変わってきたことを示唆している。 そのため、企業には適正な価格転嫁の推進と同時に物価上昇を超える継続した賃上げの実現、政府には減税など消費者の所得増大に資する抜本的な変革が早急に求められている。
調査概要 調査対象企業:2万7443社 有効回答企業:1万1267社(回答率41.1%) 調査期間:2024年2月15日~2月29日 調査方法:インターネット調査