心が揺れる季節(3月24日)
近年の統計によれば、高校や大学を卒業して就職した若者の3割が、三年以内に離職・転職するという数字もある。職業や価値観の選択肢が多い現代ならではの数字かもしれない。 旅立つ若者を前にして、年長者として「想定されるリスク」や「心構え」を説いたところで、急速に変化する世の中でどれほど役に立つのかもわからない。あれやこれやの取り越し苦労に近い心配が、頭の中を駆け巡る。キリがないのが教育・育成の仕事だとは理解しながらも「これでよかったのか」「もっと伝えるべきことがあったのではないか」という自問自答を繰り返す。 どうかすべての卒業生・修了生の皆さん、あなた方を送り出した教師・教授・講師・指導者たちが、答えの出ない揺れる心を抱えながらこの季節を送っていることに、少しだけ思いを馳[は]せてくれと未練ながら願ってしまう。 (宮田慶子 白河文化交流館コミネス館長)