「伝説はよく聞きます」ソフトバンク・小久保裕紀監督の快進撃に和歌山・星林高の後輩たちも発奮
【球界ここだけの話】 現在、43勝19敗3分けの貯金24、2位に今季最大10ゲーム差をつけてパ・リーグ首位を突っ走るソフトバンク。6月の時点で2桁のゲーム差をつける独走状態は、リーグでは1983年の西武以来。球団では南海時代の65年以来で、ここまで圧倒的な強さをみせている。 【写真6枚】ソフトバンク小久保監督の長女・春菜、芸能界本格デビュー 光るのは、今季からチームを率いる小久保裕紀監督(52)の若手を伸ばす采配だ。2020年を最後に優勝から遠ざかるチームをもう一度常勝軍団に戻す使命を負ってチームを指揮。勝利を追求しながら若手の成長も促している。 22日のロッテ戦(みずほペイペイ)では終盤まで1-1で同点の接戦が続いた中で、初回の1失点のみと粘るも球数がすでに100球を超えていた先発・大津亮介投手(25)を八回もマウンドに向かわせた。最大の踏ん張りどころとなった大津は3者連続空振り三振を奪う快投で応え、その裏の勝ち越しを呼び込んで今季5勝目を手にした。 大津は12日に自己ワーストの7失点を喫していたばかり。正念場を迎えての快投に、指揮官は「今後の野球人生を考えた時に八回は『あいつ(大津)のためにくれてやれ』という感じだった。八回の姿で勝ち投手になれた」と言ってたたえた。 大局的な視点から選手起用ができるのは、大きく勝ち越しているチーム状況もあるだろう。しかし、この数年でうまく進まなかった野手の新陳代謝も進めている点も見逃せない。 D3位・広瀬隆太内野手(23)=慶大=や20年D1位で今季育成選手から支配下に返り咲きした佐藤直樹外野手(25)を積極起用。広瀬は14日の阪神戦(みずほペイペイ)でプロ初本塁打を放ち、21日のロッテ戦(北九州)でも2本目をマークとアピールを続けている。 今季の小久保監督の活躍は、高校時代を過ごした母校の後輩球児にとって発奮材料となっている。全国高校野球選手権の和歌山大会に臨む星林高校の須崎蓮主将(3年)は「小久保さんの指導でソフトバンクが首位を走っているのは刺激になる。打撃練習の打球が学校グラウンドの左翼ネットを超えたり、外野フェンス奥にある大きな木に突き刺さったりという伝説はよく聞きます。自分たちは全員が守れる分、この夏はどれだけしっかり打てるかがポイントになる」と躍進を誓った。小久保監督は高校3年の夏は準決勝で桐蔭高校に敗退。須崎主将も「4強を目標に戦いたい」と、7月11日に迎える熊野高校との初戦に向けて気持ちを高めている。 17日には同じく母校である青山学院大が全日本大学野球選手権で2年連続6度目の優勝を飾り、後輩の活躍を喜んでいた小久保監督。今度は高校の後輩との相乗効果でさらに快進撃をみせたい。(上阪正人)