町田は初優勝に届かず 黒田監督は悔しさ押しころす 前半に堅守崩壊 鹿島に1-3で敗れ激動の1年を終える
「明治安田J1、鹿島3-1町田」(8日、カシマスタジアム) 3位の町田は前半の3失点が響き、アウェーで鹿島に敗北。史上初となるJ1初昇格初優勝に届かなかった。試合終了の笛がなると、黒田剛監督(54)は、一瞬下を向き、悔しさを押し殺してコーチ陣と握手をかわした。 10シーズンぶりに上位3チームに優勝の可能性が残って迎えた最終節。逆転Vには勝利が絶対条件の町田だったが、前半5分、FW鈴木の絶妙なスルーパスに抜け出したFW師岡に角度のないコースからシュートを決められて先制を許す。出ばなをくじかれると、16分にも師岡のスルーパスに抜け出したMF樋口に追加点を奪われた。 厳しい展開となったが23分、左CKからデザインされたセットプレーで鮮やかに守りを崩し、最後はフリーのMF下田がゴール右上隅に決めて追い上げる。その後もチャンスを作り、得点の機運が高まる中、前半終了間際にスローインの連係ミスをきっかけに、鈴木の独走を許して痛恨の3失点目。リーグ最少失点だった堅守が崩壊した。 ハーフタイム後には、日本代表DF中山、FW藤尾を投入し攻勢に出る。だが、2点のリードを生かし、守りを徹底してくる鹿島からなかなか突破口を見いだせず。そのまま試合は動かず、終了の笛が鳴った。 優勝にはあと1歩届かず。それでも初挑戦のJ1で新たな歴史を作った。開幕から快進撃を見せ前半戦を首位で折り返し、J1初昇格で最高位となる3位フィニッシュ。黒田監督が青森山田高時代から掲げている、堅守が武器の「負けないサッカー」が日本最高峰のリーグでも通用することを証明して見せた。 ロングスローといった戦術や球際に激しく寄せるプレースタイルにSNSでは批判的な声も一部であがった。6月の天皇杯筑波大戦後には黒田監督が筑波大のラフプレーやマナーに苦言を呈した発言が物議を呼び、誹謗中傷が過熱。10月にクラブが刑事告訴に踏み切るほどだった。FW藤尾のPK水かけ騒動、ロングスロー時のタオルを巡る問題など、話題に上がることが多かった激動の1年を終えた。