東海大相模 主将不在の緊急事態、深谷が口火 選抜高校野球
第93回選抜高校野球大会は第9日の29日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で準々決勝が行われ、春夏通算4回優勝の東海大相模(神奈川)が福岡大大濠を破り、第90回大会(2018年)以来3年ぶりの4強入りを決めた。東海大相模は第10日第1試合で天理(奈良)と対戦する。 【東海大相模vs福岡大大濠の試合を写真特集で】 東海大相模は試合前、グラウンド外でアクシデントに見舞われた。未明に主将の大塚が体調不良を訴え、急きょベンチ入りメンバーから外れる緊急事態に。2番・遊撃で攻守の要である大塚の穴を埋めたのは、門馬監督が「守備で貢献してほしい」と今大会初めて起用した2年生・深谷だった。 2点リードで迎えた二回無死、先頭打者として右打席に入ると、福岡大大濠の先発右腕、馬場の外寄りのスライダーに食らいついた。打球は右翼線への二塁打となり、好機を築いた。1死後に門馬が2ランで続くなど、活気づいた打線はこの回一挙4点を奪った。 昨秋は公式戦全9試合のうち4試合に出場したものの、5打数1安打と打力は今一つ。そんな「守備の人」の快打の裏には、チームの徹底した戦略もあった。「高めに手を出して打ち損じないよう、目線を下げて低めを意識した」と門馬が説明したように、各打者は高めを捨ててたたく意識で臨んだ。深谷の一打も2球続いた高めの球を捨て、ベルト付近にきた球を捉えた。 前評判は高かったものの、東海大相模は1、2回戦で計4得点しか奪えなかった。ここまでは三塁コーチを務めてきた8番打者・深谷の長打が大量点の呼び水になり、「チームを勢いづけた」と門馬監督は喜んだ。 「大塚さんと同じ仕事はできない。とにかく次の試合につなぐ気持ちだった」と深谷。持ち前の守備も無難にこなし、チームの選手層の厚さを印象づけた。試合を重ねながら状態は上向きになり、2011年に続いて3回目のセンバツVへ視界が開けてきた。【伝田賢史】 ◇全31試合を動画中継 公式サイト「センバツLIVE!」では、大会期間中、全31試合を中継します(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2021)。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/senbatsu/)でも展開します。