「長沼が海のように見えた」 台風災害・千曲川の堤防決壊から5年を前に 長野市長沼小児童が防災・減災の学習発表
2019年10月の台風19号災害による千曲川堤防の決壊から13日で5年となるのを前に、近くの長野市長沼小学校(全校児童77人)で11日、防災・減災に関する学習発表会があった。学年ごとに、地元住民の被災体験や水害の歴史などについて写真を交えて紹介。住民約20人も訪れ、今後も地域が一帯となって災害を伝えていく気持ちを新たにした。 【写真】千曲川堤防決壊で被災した長沼小 1~3年生は、被災直後に濁流にのみ込まれた地域の写真などをスライドに映しながら、当時を「長沼が海のように見えた」などと発表。決壊現場近くの玅笑(みょうしょう)寺に残る、過去の水害を伝える水位標も紹介し、「伝えていくことが大事」とした。 4~6年生は、防災用品や治水対策について調べたことを発表。被災当時1年生だった6年生の中には、校舎が浸水してしばらく使えなかったことを振り返りながら、堤防の強化や遊水地整備といった治水対策の大切さをまとめた児童たちもいた。 6年生の丸山小晴(こはる)さん(12)は災害で校舎が使えなかった間、近くの柳原小の一角を間借りして授業を受けたことを今も覚えている。自宅も浸水被害に見舞われ、「みんなが落ち込む気持ちを押し殺して、頑張ろうとしていた」。 丸山さんはこの日、「私たちが大人になった時、堤防は大丈夫か確かめる必要がある」と発表。低学年の児童が一生懸命、話を聞いてくれ、「災害のことを知ろうとしてくれてうれしかった」と笑顔を見せた。 児童たちの発表を聞いた長沼地区住民自治協議会長の松原秀司さん(63)は「皆さんの防災・減災の知識や意識は大人顔負け。これからの長沼について一緒に話し合っていきたい」と協力を呼びかけた。