世界初の全自動衣類折りたたみ機「ランドロイド」 どんな風に動くのか?
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世界初の全自動衣類折りたたみ機「landroid(ランドロイド)」を開発・販売するセブンドリーマーズ・ラボラトリーズ(東京都港区)は、9月下旬から10月初旬にかけて受注を開始、今年度中に出荷を始める。価格は1台185万円からというが、いったい、どのように折りたたむのか。デモ機を見学した。
ランドロイドとは?
ランドロイドは、Tシャツをはじめとしたさまざまな衣類を全自動でたたみ、種類別や家族別に仕分けする。搭載した人工知能が衣類の種類や特徴などを学習。衣類折りたたみ用ソフトウェアも随時アップデートされるので、使ううちに仕上がりの精度やスピードが上がるという。当面は折りたたみ・仕分け機能がメインだが、将来的には、洗濯、乾燥、収納などの機能も取り込んだオールインワン型システムの開発も構想する。
どんな風に動くのか?
今回のデモに用いられたのは試作機。市販モデルと試作機とでは本体の色や材質は異なるが、機能や冷蔵庫を一回り大きくしたような大きさは同じだ。 本体下の洗濯物を入れるスペースに、少し乱雑にTシャツを投入する。デモでたたむのは1枚。フタを閉じて、スマホアプリのスタートボタンを押す。待つこと約5分。筐体の前面のパネルが開いたので、中にあるTシャツを手に取ると、首の部分が少々中心よりもずれていたが、それを除けば確かにきちんとたたまれていた。 折りたたみにかかる時間は、1枚あたり約5~12分(衣類の種類で異なる)。最大で約30枚の衣類を投入可能なので、単純計算で約2時間30分から6時間はかかる計算になる。少し長いと思ったが、同社の阪根信一社長(46)は「私たちも当初はそう思ったのですが、マーケットリサーチの結果、2~6時間かかっても全自動でたたんでくれるなら問題ない、という意見が多かった」と話す。
たためる衣類の種類の拡大が課題
早さよりもニーズが高いのは、たためる衣類の種類の拡大。阪根社長によると、現状でたためる衣類は、Tシャツ、カットソー、ボトムス、ホームウェア、タオル類。ワイシャツはボタンを3つほど止める必要があるほか、裏返した衣類はそのままたたんでしまう。靴下は右足と左足の両方をうまくペアにできない。今後のソフトウェアアップデートで対応可能な衣類を増やしていくという。 折りたたみ・仕分けに加え、ランドロイドは人工知能が衣類をデータベース化するので、持っている衣類の管理にも活用が可能。たとえば、ショッピングの際、アプリで手持ちの衣類を確かめながら、組み合わせを考えて新たな衣類を購入する、といった使い方が考えられるという。 「世界初の製品であり、ブランディングの観点から当初は価格を高めに設定した」と阪根社長。今後は販売価格を低下させ、「10年以内には20万円台を切りたい。他社が追いつくには数年かかるでしょうが、世の中のスピードは早く、10年以上かけたらどこかに追い抜かれますから」と力を込める。 将来的に目指すというオールインワン型システムは、機器のすべてが住宅の壁に組み込まれており、壁の投入口に衣類を入れるだけで、何もしなくても洗濯から衣類の収納まで全自動でやってくれる、という流れを構想する。「そういうシステムが実現すれば、人間は洗濯にかかわる一連の労働から解放されます」と阪根社長は話す。
ランドロイドの未来は?
同社のランドロイドについて、家電分野を中心に執筆や商品企画などにたずさわる、家電+ライフスタイルプロデューサーの神原サリーさん(55)は、「“たたむ”という作業の手間を解消してほしい、というニーズに応えており、未来の夢が現実化した製品」と評価。「将来的には、阪根社長が構想するすべてを担うオールインワン型のシステムと、クローゼットの一部として機能する折りたたみ・仕分け機の2方向に分かれて進化を遂げるのではないか」と予想している。 (取材・文:具志堅浩二)