【新課程・共通テスト】「情報I」どう対策? 配点なし・成績同点者の順位決定に使うケースも
■2025年度大学入学共通テスト
2025年度の大学入学共通テストから、新しく『情報Ⅰ』が加わります。過去問がない中で、「どんな問題が出るのだろう」と不安に思っている高校生も少なくないでしょう。どのような対策を講じればよいのでしょうか。 【写真】『情報Ⅰ』の試作問題はこちら
学校現場で情報教育が進んでいます。20年度から小学校でプログラミング教育が必修化され、21年度には中学校の技術・家庭科(技術分野)でもプログラミング教育などの充実が図られています。さらに、22年度からは、高校で共通必履修科目として「情報Ⅰ」の授業が実施されています。 大学入試センターで審議役を務める森下平さんは、情報教育と大学受験の関係をこう話します。 「『情報Ⅰ』で学ぶ内容は、文系、理系を問わず、身につけるべき教養といえるものです。共通テストでもその達成度を測るため、『情報Ⅰ』が必修となった高校生が受験する25年度の共通テストから、新しい出題科目として『情報Ⅰ』を追加することにしました」 高校の「情報Ⅰ」では、どのような内容を学習するのでしょうか。 「情報の授業というと、プログラミング教育のイメージを持たれているかもしれませんが、それだけではありません。アルゴリズム*やプログラミングの基礎は学びますが、今の情報社会の中にある問題の発見や解決に、情報や情報技術をどう活用するかといったことを学ぶ『情報社会の問題解決』、目的や状況に応じた適切な発信の仕方を考える『コミュニケーションと情報デザイン』など、“情報や情報技術をどう使いこなしていくのか”を含めて幅広く身につけます」(森下さん) *アルゴリズム:プログラミングなどにおいて問題を解決するための方法や手順のこと。
試作問題は日常と情報の結びつきを重視
共通テストに追加される『情報Ⅰ』の試験時間は60分、配点は100点。過去問がない中で受験生の不安の解消につなげようと、大学入試センターはホームページ上で『情報Ⅰ』の試作問題を公表しています。 試作問題は大問4つで構成され、解答する問題数は40問程度となっています。どのような構成になっているのでしょうか。 ■第1問 SNSやメール、Webサイトなどを利用する際の注意点や、情報の信ぴょう性の判断について理解しているかを問う問題のほか、鉄道の路線図や旅行会社のWebサイトを題材に考察する問題など、情報社会と人との関わりの中で、情報及び情報技術に関して科学的に理解し、適切に活用できるかについて問うものです。 ■第2問 二次元コードの仕組みや規則性や特徴について、また知的財産権との関わりについて考察できるかを問う問題や、文化祭の模擬店を題材に待ち状況のシミュレーション結果から読み取れることなどを考察する問題です。 ■第3問 買い物の代金の上手な払い方を通して、基本的なアルゴリズムとプログラミングの基本に関する理解のもと、示された要件を踏まえたプログラムについて論理的に考察できるかを問う内容です。 ■第4問 生活時間の実態調査の結果をもとに、データの活用と分析に関する基本的な知識及び技能と、データが表すグラフから読み取れることを考察できるかを問う内容となっています。 「試作問題は、SNSや鉄道の路線図など、日常的なことと情報との結びつきを重視し、身近な問題解決を題材にしています。これらのことからも、高校の授業の科目『情報Ⅰ』は特別なものではなく、現代社会を生きるすべての人に必要な知識や技能、思考力などを育むものだと理解していただけるのではないでしょうか」(森下さん) 現在、大学入試センターでは、大学生にモニター調査を行った結果や高校教育関係者の意見などを参考にしながら、問題の内容、分量、程度などに留意して問題作成を行っています。森下さんによれば、試作問題で示した検討の方向性から、大きく変更される可能性はないということです。 なお、既卒者など旧学習指導要領に基づく科目を履修した受験生などについては、25年度の共通テストに限り、経過措置として旧学習指導要領の選択必履修科目「社会と情報」「情報の科学」を範囲とする『旧情報』も用意されます。