トヨタ「レビン/トレノ」の熟成モデルといえば「AE111」でキマリ! ヘリカルLSDが搭載されたホットモデルでした
ATも用意され2ペダルで楽しむことができた
トヨタ「カローラレビン/スプリンタートレノ」といえば、多くの人が真っ先に脳裏に思い浮かべるのはAE86と呼ばれる4代目モデルだと思います。しかし、レビン/トレノはその後も当然ながら代を重ねており、最終型、7代目のAE111ではかなり熟成したモデルとなっています。AE86や同世代のテンロクスポーツの代名詞である「シビック」などの陰に隠れてしまった感のあるAE111とは? 【画像】わずか5年で生産終了が惜しい! AE111型「カローラレビン/スプリンタートレノ」を見る(全25枚)
最後のレビン/トレノとなったAE111型
トヨタ「カローラレビン/スプリンタートレノ」のAE111型が登場したのは1995年6月のことで、ベースのカローラ/スプリンターの1カ月遅れでの販売スタートとなった。ちなみにAE111の型式が与えられるのは1.6Lエンジンを搭載したモデルだけであり、レビン/トレノでも1.5LモデルはAE110という型式が与えられている。 また1.6Lエンジンも多くの人に知られる名機、4A-GE型のほか、ハイメカツインカムの4A-FE型も存在し、こちらもAE111となるのだが、今回は4A-GE型を搭載したモデルに絞って紹介するので悪しからず。 そんなAE111は、先代に比べて最大70kgの軽量化を果たし、4A-GE型搭載の最軽量モデルは1020kg。エンジンは170psのスーパーチャージャー仕様は廃止されたが、NAモデルは+5psの165psを発生した。 そこに組み合わせるトランスミッションは、5速MTのほか4速ATも用意され、ハイパフォーマンスなエンジンを2ペダルで楽しむこともできるようになっていた。 また足まわりには先代型同様にスーパーストラットサスペンションが採用され、上級仕様の「BZ-G」にはオプションで用意、走りを重視した「BZ-V」には標準装備とされたほか、スーパーストラットサスペンション搭載車のMTモデルには日本の前輪駆動車としては初めてヘリカルLSDが搭載されたこともトピックとして挙げられる。 なお、レビン/トレノは言うまでもなく兄弟車関係にあるが、AE111においてはフロントマスクにレビンがグリルあり、トレノがグリルレス風となっている程度の違いで、AE86~92時代のような大きな差異は与えられていない。 1997年4月のマイナーチェンジでは、マニュアルトランスミッションが5速から6速へと多段化となり(ATは4速のまま)、衝突安全ボディのGOAを採用したことで最軽量モデルでも1060kgと40kgの増加となってしまった(ただしボディ剛性は大きく向上した)。 またヘッドライトがマルチリフレクタータイプとなり、テールランプも丸型に光るものになるなど、近代的にアップデートがなされ、グレード体系も「BZ-G」がベーシックグレードとなり、スーパーストラットサスペンション付が「BZ-R」、そしてBZ-Vに該当するものが「BZ-R V仕様」となっている。 そんなAE111もクーペ需要の冷え込みの影響を受け、2000年8月にカローラがフルモデルチェンジを果たしたタイミングで消滅。実質的な後継車となりダウンサイジングを果たした7代目「セリカ」もヒットしたとは言いがたく、FFコンパクトクーペは現在まで消滅したままとなっているのが現状だ。 なお余談ではあるが、AE111という型式はレビン/トレノだけのものではなく、セダンの「カローラ/スプリンター」の1.6Lモデルや、「スプリンターカリブ」の1.6Lモデル(こちらは末尾にGが付き、AE111G)、「カローラスパシオ」の1.6Lモデル(こちらは末尾にNが付き、AE111N)もAE111のファミリーということになる。
小鮒康一(KOBUNA Koichi)