中川晃教と小林亮太が熱く語る!『フランケンシュタイン』は“ミュージカルの真骨頂”
フランケンシュタイン博士をどう表現するか、試行錯誤中
――小林さんは今年、韓国版『フランケンシュタイン』を観に行かれたとか。 小林 はい、和樹さんに誘っていただいて韓国に行かせてもらいました。 中川 その話、聞きたい! 何日間、行ったの? 小林 一泊二日で、『フランケンシュタイン』を2回、違うキャストで観させていただきました。和樹さんのお計らいで席が前から2列目だったんですよ! なので、本当に生声が飛んで来るくらいの距離感で観ることが出来て。韓国ミュージカルでは歌の要素が一番強いと思っていたけど、その下に流れる芝居の部分もこれだけ強いんだ!って圧倒されましたね。その芝居があるからこそ、音楽がしっかり響いて来るんだなと。 中川 へえ~! 好きな感触だった? 小林 僕はとても好きだなと感じましたね。ただ、日本人の持つ感覚と韓国の方が持つ感覚はやっぱり別だと感じるから、韓国バージョンにリスペクトを持ちながらも、日本の観客の方々に届くように僕らの感覚を大事にしながらやっていきたいなと思いました。 中川 俺は純粋に、韓国の俳優さんたちの歌声の強さに惹かれたんだよね。 小林 それはありますよね。その印象が強かったから、じゃあ芝居の部分は?と注目していたんです。それでキャスト違いで観て、ビクターの色がこうも違うのか!と。それこそ中川さんとも柿澤(勇人、初演&再演のビクター役)さんともまた違って、こんなに振り幅が大きくていいんだなと。演出の板垣さんも「自分の持っている色でやってほしい」とおっしゃっていたし、今回、僕と太星君が新しい色として、しっかり攻められたらいいなとあらためて感じました。 中川 韓国バージョンを観たことで、それだけ大きな振り幅でそれぞれの違いを受け止めてくれる、器の大きい作品なんだなと感じたってことだよね。これまでそういう作品に出会ったことは、あんまりなかった? 小林 ないですね。僕自身、韓国からの作品に出演させていただいたことはあるんですけど、現地で観たことはなかったんです。飛行機で数時間飛んだらこんなエンタメが広がっているんだ!って(笑)、すごく衝撃を受けました。だからやっぱり、ちゃんと戦いたい。韓国の舞台を観た夏の時点から、ちゃんと準備しなきゃ!とより気持ちが高まっています。 ――中川さんは、ビクター・フランケンシュタインという人物を演じるにあたって必要な要素をどのように考えますか? 中川 何でしょうね。僕はまだ自分の言葉でそれを表現しきれないのだけど、韓国版でアンリ/怪物役を演じたパク・ウンテさんが僕たちの初演を観た後に、「やっぱりフランケンシュタイン博士がこの物語の主役なんだね」とおっしゃったんですよ。もう少し歳を重ねたら絶対にビクターをやりたい、とも言っていて。 小林 そうなんですね……! 中川 ビクター・フランケンシュタインを“気が触れた博士”の一言で表現してしまうアプローチもあるかもしれないけど、そこにやっぱりそれぞれの俳優のポテンシャルを活かした、血の通った表現があってもいいわけで。パク・ウンテさんが言っていたように、この作品においてはフランケンシュタイン博士をいかに物語の核として表現出来るかで、アンリや怪物の生き方、見え方も変わってきてしまうと。 小林 なるほど~。 中川 博士がいて、彼によって生み出された怪物がいる、ということですよね。違う言葉で表現されたこの作品を観てウンテさんがそう感じたってこと?と思った時に、自分の何を信じるかだなあと思った(笑)。音楽を信じたり、芝居を信じるということかなと。 小林 僕は今、原作も読んでいる最中なんですけど、原作や台本を読んでも、韓国版を観ても、日本版の中川さん、柿澤さんが演じられたのを見ても、やっぱり自分の中で今もずっと迷っているんですよね。フランケンシュタイン博士もずっと迷っている人間でもあると思うので、そういう部分は投影できるなと思ったり。音楽面での理解度は中川さんがずば抜けていらっしゃるので、そこは稽古を見させていただき、学ばせていただきたいなと思っています。 中川 この役、突き詰めていくと病みますからね。健康第一で頑張ってください(一同笑)。