華奢な女性ドライバーは不利? Jujuの実父・野田英樹氏がSF重量規則について持論述べる「レース業界全体が考えていくべき」……チーム代表は“サンプル”の少なさに言及
■現状のレース界は女性ドライバーの「サンプルが少ない」状態
これについて、TGM Grand Prixを率いる池田和広代表にも見解を聞いた。 池田代表は無類の競馬好き。乗るものが競走馬とレーシングカーという違いはあれど、競馬とモータースポーツは共に、男性と女性が同じフィールドで競い合う競技だ。そして競馬では、基本的に女性騎手の負担重量を2kg軽減するという制度がある。 競馬では一般的に重量1kgに対して1馬身の差がつくと言われているが、「それ(減量制度)で実際に女性の勝率が伸びているかと言われたら、そこまで効果は出ていないのかもしれない」とのこと。ただそのように、男女混合の競技で女性に対するハンデを設ける競技も実際に存在する。 池田代表も、スーパーフォーミュラにおいては体重が軽くその分バラストを積める方が基本的には有利だと語った。ただその一方で、英樹氏が言うように同じ体重でも男女で筋力差がある場合はその限りではないだろうとも認める。 そして女性ドライバーを取り巻く現在のレギュレーションが公平かを判断するには、“サンプル数”が圧倒的に足りていないと述べた。これは英樹氏の言う「検証が必要」という主張とも一致している部分があるように感じられる。 「もちろん男女差は圧倒的にあると思います。ただ、モータースポーツというクルマを使うスポーツにおいて、どのくらいの差があるのかは証明できていないと思います。なぜかというと、競技人口で女性の方が圧倒的に少ないからです」 「もし女性ドライバーが男性と同じくらいの数いればサンプルは取りやすいですが、今のように男性と女性が10:1くらいの人数比での比較となると、(「男性と女性の比較」ではなく)『Juju選手との比較』になってしまいます。そこで(レギュレーションを調整した場合)、ガタイの良い、筋力のある外国人の女性ドライバーが来た時に、今度は全然楽勝だったということになってしまう可能性もある。でも、サンプルが少ないからそれもなんとも言えません」 「そのサンプルが少ないのは、女性にとって何か壁になるものがあったからだと思いますし、だからこそパイを増やしていく努力は我々もしないといけないと思います。そしてレギュレーションを調整するべきなのか? (男女で)どのくらいの差があるのか? それらを数字や理論付けで解明するのが大事だと思います」 「モータースポーツでは、同じ筋力差であれば(体重が)軽くてその分ウエイトを積む方が有利になります。しかし筋力差などによっては、(女性が)不利になる可能性がある。ただそのバランスが分からないので、解明する必要があると思います」 英樹氏のこのような発言を巡っては既に報道もされており、SNSを中心に様々な意見が飛び交っている状況だが、池田代表は「野田さんがこうやって自身で発言することで、それがみんなを動かすことに繋がっていくと思います。言う人がいるから考えが生まれて、色んな人の意見が出てくる。そういう意味でも、女性アスリートの新しいページを作っていくことは大事なんじゃないかと思います」と述べた。
戎井健一郎