AIエージェントとは何かをやさしく解説、安野貴博氏が語るChatGPTとの違いやメリット
ChatGPTの登場以降、ビジネスにおける活用が急激に進む生成AI。その中で現在、特に注目されているのが「AI(人工知能)エージェント」だ。AIエージェントの仕組みを活用することで電話の応答やメール送信を行う「AI社員」の実現が可能になるため、人材不足を解消するカギになるのではと期待を集めている。AIエージェントとは具体的にどのようなものなのか、活用するとどんなメリットがあるのか、起業家・AIエンジニアの安野 貴博氏の解説と合わせて紹介する。 【詳細な図や写真】AIエージェントと生成AIの主な違い
「AIエージェント」とは何か
AIエージェントとは、人が設定した目標に対して、必要なデータを収集し、そのデータに基づいて自己決定タスクを決定しながら目標を達成するためのプログラムのこと。 目標は人間が決めるが、その目標を達成するために必要なアクションはAIエージェントが自律的に選択する。安野氏によると「AIエージェントは、ChatGPTのような会話型AIからさらに進化した次のステップに位置しており、AIに質問をして答えをもらうという従来のAIの使い方に加えて、自律的に実際の行動を起こすことができる」点に特徴があるという。ChatGPTのような会話では必要な情報を得られても、アクションは伴わない。一方、AIエージェントの多くは実行を伴う。 AIエージェントについて、安野氏が動画でも詳しく解説しています 「たとえば、私が『明日、札幌行きの飛行機を予約してほしい』とお願いすると、AIエージェントはWebブラウザで飛行機の予約を検索し、予算内で適切な便を選んで『こちらでどうですか?』と確認してくれます。ここでOKを出すと、実際に予約まで進めてくれるのです」(安野氏) ■AIエージェントと生成AIの違い AIエージェントと生成AIは似ているが、AIの目的や運用方法、作業内容などに相違点がある。それぞれの違いは、下図のとおり。 この図のとおり、業務の自動化を得意とするAIエージェントは、一連の仕事の流れを任せたい場合に適している。一方の生成AIは、コンテンツ生成を目的とするため、テキスト生成や画像生成などと相性がいい。 安野氏は両者の違いとして「自律性」を挙げ「今のChatGPTのようなAIは、人間が何かを尋ねて初めて返答する仕組みになっています。しかし、自律性を持つAIエージェントは、そのアクションのトリガーが人間のリクエストだけではなく、AI自身が『これを今やるべきだ』と判断して動き出すようになります。たとえば、AIエージェントが「明日の予定を決めたほうが良いのではないですか?」と時間に応じて提案してくれるような動きです」と話す。 さらに、「現在の生成AIが情報を引き出すためのツールという性質が強いのに対して、AIエージェントの場合は、生成AIを窓口としながら、その先はAIエージェント同士が協力しながら、複雑なタスクも効率的にこなすことも可能」だという。