唐辛子にも?スパイスに虫やダニがわく!?保存は常温ではなく密閉して冷蔵庫へ…引き寄せられる理由は「におい」だった
どうやって確認する?
これらの虫が混入しやすい時期は「5月以降から夏にかけて」。冬は虫の活動時期ではないが、今の季節もキッチンが暖かいと活動していることもあるため、注視しておきたい。 混入する虫は、成虫でも7ミリ程度。それらが産み落とした卵や幼虫はさらに小さく、目視での発見は困難。さらに、虫とスパイス・香辛料が一体化してしまうと、見つけにくくなる。 ビンや袋に入った虫と香辛料・スパイスの見分け方は「状態」だと宮ノ下さんは話す。 「ダニの大きさも数ミリ、『ノシメマダラメイガ』や『タバコシバンムシ』の小さな卵や幼虫はほとんど目に見えません。見分けるポイントは、香辛料やスパイスの状態です。 まず、香辛料やスパイスがダマになっていたら要注意です。タバコシバンムシの幼虫とノシメマダラメイガの幼虫は糸を吐くので、香辛料やスパイスがつながってダマになります。 また、『ノシメマダラメイガ』の幼虫は、香辛料やスパイスを食べると顆粒状のフンをして、それらがビンや袋の底に溜まってきます」 厄介なことに虫がいても味は変わらない。食べても大丈夫なのだろうか。 「毒を持っているわけではないので、食べても健康被害が起きるようなことはあまりない」とのこと。ただし、ダニアレルギーを持っている人は、アレルギー反応に個人差があるため、気をつけてほしいと宮ノ下さんは言う。
虫は「におい」に引き寄せられる
宮ノ下さんいわく、「出回っている数が多く、長期保管しやすい香辛料=混入頻度が高い、という観点から、混入事例をよく聞くのが一味や七味唐辛子」とのこと。 辛みのある一味や七味唐辛子には虫が寄って来なそうなイメージがあるかもしれないが、実は虫は辛みを避けないという。 「人間はカプサイシンという成分で辛味を感じています。人間が辛いからといって、虫も辛いわけではありません。研究によると、スパイス・香辛料と虫の関係は、辛みより香り成分との関係が大きい。虫はにおいで行動を支配されているため、香辛料やスパイスの『におい』に引き寄せられ、混入してしまうのです」 開封直後のにおいが強い時は、虫が寄ってきにくい。ところが、時間の経過とともに弱くなればなるほど、寄ってきやすくなる。 「開封直後のにおいが強いときでも適切な保存をしていないと虫が入ることはあり得ます。開封から3カ月ほど経てば、香り成分はかなり弱まるでしょう。長く保存するほど、虫にとってはいいエサになるのです」 大掃除の時期、キッチン周辺や冷蔵庫をキレイにすることもあるだろう。そのときは、普段使っている香辛料やスパイスの状態も要チェック。なにか異変があればすぐに捨ててほしい。 宮ノ下明大 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(通称:農研機構) 食品研究部門 食品流通・安全研究領域 食品安全・信頼グループ 主席研究員。農学博士。貯蔵穀物や加工食品に被害を与える食品害虫の防除技術と食品への混入防止技術を研究。玄米貯蔵施設や食品工場などの現場で使える知識の普及や、防除技術の開発を目指す。 イラスト=さいとうひさし
プライムオンライン特集班