早大時代に指導した野村徹氏が語る青木宣親「早稲田で身に付けた打撃技術が根底にあった」
「学生の参考になることは多々ある」
日々の訓練によって磨かれ、自分の技術にしていきました。一番には田中を据え、青木は二番。走者一塁で、青木には併殺がないですから基本、バントはさせない。クリーンアップには鳥谷、比嘉、武内、六番には由田が控えており、何をしてくるか分からない青木は、相手校からすれば嫌なバッターだったのではないでしょうか。 日米通算2723安打の軸には、早稲田で身に付けた打撃技術が根底にあったと思われます。学生時代、東伏見グラウンドで懸命に練習していた姿が、鮮明に思い出されます。鳥谷は全体メニュー後、室内練習場での自主練習に熱心でしたが、青木はなぜか、その場で見かけたことがありませんでした。人目につかない場所をみつけ、影でこっそり、汗を流していたそうです。 向上心が旺盛。ある試合で4打数3安打と結果を残しても、翌日には打撃フォームが変わっていた。私ならば、そのままで行きますがねえ……(苦笑)。青木にその理由を聞けば「打撃内容に、満足していない」と。理想をひたすら追い求めていました。あくなき挑戦。それが、20年以上、プロでプレーし続けてきた一因かと思います。 今の現役学生にも、青木が歩んできたプロセスを聞かせてやりたいです。スポーツ推薦組に隠れて練習していた下級生時代、怒られ、怒られながらも自身のプレースタイルを確立した過程。学生の参考になることは多々あると思います。今後、さまざまな形で日本の野球界に貢献してほしいです。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール