米国務長官、停戦目指し11回目の中東訪問-ネタニヤフ氏らと会談へ
(ブルームバーグ): イスラエルがイスラム組織ハマスの奇襲攻撃を1年余り前に受けて以来、同国と親イラン武装勢力との停戦を実現しようと試みてきたブリンケン米国務長官は21日、11回目の中東訪問に出発した。
米国務省によると、ブリンケン長官はイスラエルと「中東のその他の国々」を歴訪する予定。バイデン政権にとっては11月5日の米大統領選挙を前に、イスラエルとパレスチナ自治区ガザのハマスおよびレバノンの親イラン民兵組織ヒズボラとの多面的紛争を停止させる最後のチャンスとなる可能性がある。
公式スケジュールによると、ブリンケン長官はエルサレムで現地時間22日午後1時30分(日本時間同7時30分)にネタニヤフ首相と、現地時間午後5時20分にテルアビブでガラント国防相とそれぞれ会談する予定。
米国務省のホクスタイン大統領特別調整官はすでにレバノンの首都ベイルートに到着しており、同国のベリ国民議会議長と会談後に「何らかの解決策に到達しなければ、事態はエスカレートして収拾がつかなくなる」と記者団に語った。
ホクスタイン氏の訪問に先立ち、レバノンではイスラエルが週末に空爆を拡大。ヒズボラの軍事活動を資金面で支えたとされる金融機関を標的にした。イスラエルの対外情報機関モサドの元経済戦争責任者ウディ・レヴィ氏はテレビ局チャンネル12に対し、「これは普通の銀行ではない。ヒズボラの経済システムを運営する非常に重要な機関で、40万人の顧客を抱えている」と指摘した。
イスラエル軍のハガリ報道官は21日、ベイルート郊外の病院の下にあるヒズボラの地下壕に少なくとも5億ドル(約753億円)の現金と金塊が保管されていると述べた。これに対しサヘル病院は、この主張が誤りであることを証明するため22日午前に報道機関を招き見学会を行うとレバノン国営通信社NNAが伝えた。
レバノン保健省によると、ベイルート南郊にあるラフィク・ハリリ病院付近での空爆により、子供1人を含む4人が死亡した。レバノンのテレビ局アルジャディードは21日、イスラエルが南部郊外で15回の空爆を行ったと報じた。