年末調整で10万円分の「控除証明書」を出し忘れた! 会社に相談したら迷惑そうに断られたけど違法?「会社の義務」じゃないの?
年末調整に出したつもりの控除証明書を実は出し忘れていたことに気づいたらショックを受けますよね。金額が大きければなおさらでしょう。 ただ、再調整(再年調ともいいます)があることを知っている人であれば、「まだ大丈夫」と会社に相談するのではないでしょうか。ところが本記事で取り上げるケースのように、会社に迷惑そうな顔で断られたら釈然としませんよね。その対応は違法なのではないでしょうか? 本記事では年末調整の再調整について解説します。
年末調整は会社の義務
年末調整とはその年の源泉徴収した所得税の過不足を精算する手続きで、雇い主(会社)が「行わなければならない」ことが所得税法に定められています。ですから、毎年当たり前のように会社から年末調整の書類が配られ、年末調整がなされるのです。 余談ですが、アメリカ、フランス、イタリアなどでは給与からの源泉徴収はあっても年末調整という制度はありません。会社員であっても自身で確定申告を行っています。対して日本では、国民全員が確定申告するとなると納税者本人はもちろんのこと、申告を受ける税務署にも負担がかかるため、年末調整制度が採用されているそうです。
再調整は会社の義務ではない
年末調整が完了した後の再調整は、「給与所得の源泉徴収票」を受給者に交付することとなる翌年1月末日まで「行うことができる」とされています。つまり、会社の義務ではないのです。「再調整をしてくれて当たり前」と思ってはいけないのです。
再調整は会社にとって事務負担増
年末調整は従業員の給与計算を行うのと同様の事務手続きです。それで会社に何か直接的な利益があるものではありません。完了した年末調整をもう一度行うというのは、会社にとって単に事務的負担が増えるだけなのです。「会社に再調整の相談をしたら迷惑がられた」というのは、そういった理由が考えられます。 ■再調整の相談はとにかく早く 年末調整の再調整は翌年1月末まで行えるとなっていますが、実務的には1月末日を待たずに源泉徴収票が交付されていることがほとんどです。 そして、源泉所得税の納付や法定調書の提出など年末調整に関連した手続きの一切も済んでいるでしょう。そのタイミングで従業員1人の再調整があると、ひと通りの修正を行わなければならないのです。一応の期限は1月末日となっていますが、再調整をしてもらえるか否かは別として、再調整の必要性に気が付いた時点でできるだけ早く相談するようにしましょう。