年金制度、いちばん苦しくなるのは「今の若者世代」ではなかった…!【衝撃】
中高年層が相当厳しい
政府は現在、高齢者の定義見直しなどについて議論を始めており、事実上の生涯労働を国民に要請するようになってきた。一連の動きの背景にある隠れたメッセージについて、分かりやすく、あえて乱暴にまとめれば、以下の5つに集約されると考えてよいだろう。 1.「年金財政を安定させ、若者世代の負担を抑えるため、高齢者の年金は今後、順次減らしていきます」 2.「年金が減ると、多くの人が年金だけでは生活できなくなり、生活保護申請の増加が予想されます」 3.「しかしながら、日本の世論は生活保護に厳しく、生活保護拡充は困難です」 4.「したがって、基本的には一生、働き続けてください」 5.「一連の措置を続ければ、現在の若者が高齢者になる頃には年金制度は安定します」 世の中ではあまりイメージされていないかもしれないが、政府が現在、行っている施策は、現役世代の負担を減らし、今の若い世代が将来、年金をしっかり受け取れるよう、近々、高齢者になる人の年金額を強制的に減らすというものである。これはまさに世代間の所得移転に他ならない。 高齢者の給付を強制的に減らす措置を実施したおかげで、年金制度は十分に存続できる状況となっており、若い世代の人は過度に不安を覚える必要はなくなりつつある。一方で、近い将来、年金を受給する中高年層の老後は相当、厳しいものとなるだろう。
加谷 珪一