玉置玲央×三浦翔平×佐々木蔵之介×毎熊克哉×松下洸平 『光る君へ』“最期”の名演を振り返る
NHK大河ドラマ『光る君へ』が最終回を迎えた。最終回では、道長(柄本佑)がその生涯を閉じるまでの圧巻の演技や、まひろ(吉高由里子)が最後に発した台詞と深い余韻を残すラストシーンなどが話題を呼んでいる。 【写真】『光る君へ』前半戦のMVPと言っても過言ではない玉置玲央 そんな中、本記事では、名演を残したキャラクターについて振り返っていきたい。紹介するのは、悪役ともいえる立ち位置でありながら強い人間味を感じさせた道兼(玉置玲央)と伊周(三浦翔平)、そして惜しまれつつも途中退場となった直秀(毎熊克哉)、宣孝(佐々木蔵之介)、周明(松下洸平)の5人だ。
一家繁栄のため「汚れ仕事」を担ってきた道兼
道兼は第1回でまひろの母・ちやは(国仲涼子)を刺し殺すという衝撃的な事件を起こす。人を殺めたことをきっかけに一族の「汚れ役」を担う道兼だが、その背景にあったのは、父・兼家(段田安則)の愛情に飢え、兄・道隆(井浦新)にはかなわず、苛立ちの矛先を弟・道長に向けるというもの悲しい心情だった。 玉置が見せる苛立ちの表情には道兼が抱える苦しみが表れていた。そのため、道兼はただの嫌われ役には映らなかったし、むしろやるせなさが際立って心を動かされるキャラクターとなった。自暴自棄になったところを道長に救われて涙を流す場面は胸に響く。その後、心を入れ替えて政に向き合う道兼を見ていると、兄弟と比べられる苦しみさえなければ彼が「汚れ役」を担うことはなかったのだとあらためて思わされる。 最終回で柄本が見せた演技同様、玉置もまた、死期が近づく場面での演技が圧巻だった。疫病にかかった道兼はボソボソと念仏を唱え始めるが、「無様だ……こんな悪人が……」と力なく自分を嘲笑う。この演技に胸が締め付けられた。また、病に苦しむ兄に寄り添う道長の腕を、道兼がすがるようにしてグッとつかんだ姿も忘れられない。道兼の目に浮かんだ涙は、ようやく得られた家族の愛に安堵しているようにも思えた。
才色兼備な姿からの変貌が印象的だった伊周
伊周は若くして、父の引き立てによりスピード出世を果たした。しかし花山院(本郷奏多)を襲撃するという大事件を起こし、一家は没落していく。ここからの落差、伊周を演じる三浦の演技がとにかく凄まじかった。第21回では、任地へ赴くことを拒んだ伊周が人目もはばからずその場に寝転び、「嫌だ、嫌だ、嫌だ!」と子どもが駄々をこねるように泣き喚いていた。 三浦は全身全霊で伊周という人物像を自身に落とし込んだのだと思う。自信家から道長を憎み、呪詛することだけが生きる支えとなる姿への変貌に違和感を覚えなかったのは、三浦が演じる伊周の生き様に一貫性があったからだろう。物語序盤に見せたプライドの高い佇まいも、大宰府への左遷以降、精神的に不安定になる様も、伊周が一族の繁栄そして再興を強く思い続けたからこその姿だ。第38回で見せた鬼の形相は忘れられないほど恐ろしいもので、まさに名演といえよう。