女性は50代後半で「素敵な奥さん」をやめた 「むき出し」で同志との不倫に飛び込んだワケ
■何を歌ってもつまらない 「いつもの癖で常に笑顔になってしまって、歌の先生から『何を歌ってもアイドルソングみたいでつまらないんだよね』って言われたんです。クッソーと思って、こいつをぎゃふんと言わせてやるって思ったときに、『あれ? これって邪魔になるかもしれない』って気づいたんです。 別にいい人の部分は、これまで通り持っておけばいいんですけど、表現をするうえでは、自分の内側とも向き合っていかなきゃいけない、黒い部分もさらけ出せなきゃいけないって。そこからは、閉めていた蓋を開ける作業というか、感情を解放することを始めたんですね」 おそらく、兄との一件で「蓋が開いた」ことと、音楽活動にのめりこんでいったことは、どこかでつながっていたのだろう。これを機に、裕子さんは、それまでの自分を壊す作業を始めたという。 ■一番やっちゃいけないことをやろう 「でも、まず壊すすべがわからなかったんです。それまで本当に、いい人、いい母、いい妻でいようと思って生きてきたから。どうやって壊そうと思ったときに、一番やっちゃいけないことをやってしまおうと考えたんですね。もちろん、人に危害を加えるとか、盗みをするとかはダメですよ。犯罪以外の中から、自分が絶対にやらないことをしようって」 そこで思いついたのが、浮気だった。それまでの裕子さんは、潔癖なまでに浮気は絶対にいけないことだと考えていたからだ。 「音楽仲間の男性に、私は今こういう状況で、いい表現をするために自分を壊したいと思っている。だから相手をしてもらえないかって頼んだんです。その人が私に好意を寄せていることはわかっていましたから」 こうして、ダブル不倫が始まった。その関係は、今でも続いているという。つまり自分を壊す作業は、現在進行形なのだ。 ■時間が足りなくなるくらい 「それからは、むき出しです。『アイドルソングみたいだね』とも言われなくなったし」 裕子さんの目標達成力には、驚くばかりである。 「彼は同志みたいなものです。一緒に切磋琢磨している相手。音楽の話になるとお互いすごくぶつかるし、全部を吐き出せる。思っていることが違ったりすると、『なんでそう思うの? おかしいじゃん!』みたいなことも結構言い合うし、そこで私の感情の揺れを受け止めてくれる人。その人が安定剤のようになってくれるから、私は自分を保てているんです。2人でいると、時間が足りなくなるぐらいずっと喋っていられる」