支配下昇格かなわなかった広島の21歳左腕 指導者目指し大学受験へ【プロ野球12球団去る人】
広島から戦力外となった育成の新家颯(しんや・そう)投手(21)は、将来的な野球指導者を目指して大学受験を決めた。21年育成ドラフト1位の左腕。3年間で支配下昇格はかなわなかったが、プロ野球選手としての夢は未来の教え子に託す。 プロ入り前は、中学生のときの職業体験をきっかけに保育士になることが夢だった。「元々、子供と接することが好きでしたし、小中高どこでも、どういう形でも野球に携わって子供たちに野球を教えたいと思っています」。プロ野球選手会には、セカンドキャリアとして大学進学を支援する制度もある。その他、自身でもさまざまな大学の情報を集めながら、進学先を模索。今は毎日軽いトレーニングも息抜きに、勉強に励む日々を送っている。 育成選手として3年間を過ごした。2年目を終えた秋、新井監督と黒田球団アドバイザーの助言もあり、上手投げと横手投げを使い分ける“二刀流”にも挑戦したが、結果を残せなかった。2軍で通算37登板。3年目は前年の24登板を大きく下回る9登板に終わった。「もう少し頑張れたかな」という悔しさは残る。 特に、最後の3年目の初登板で2イニングを3安打6四死球7失点と炎上したウエスタン開幕・阪神戦が忘れられない。「思い出したくない思い出です(苦笑い)。でも、失敗して感じたことだったり、伝えられることはあるんじゃないかと思います」。もちろん1年目の初勝利、2年目の初セーブという、いい思い出もある。数々の経験が、自身の理想に掲げる“選手に寄り添える指導者”になるための糧となる。21歳が、希望を胸に新たな一歩を踏み出す。(畑中 祐司) ◆新家 颯(しんや・そう)2003年8月14日、和歌山・田辺市生まれ。21歳。小学1年で野球を始め、衣笠中では軟式野球部に所属。田辺高では3年夏に初戦・和歌山工戦で9回3失点で敗退も、12奪三振の力投。21年育成ドラフト1位で広島入り。2軍で通算37登板3勝1敗1セーブ、防御率5・80。182センチ、83キロ。左投左打。
報知新聞社