【インタビュー】多様性を活かした価値創造に挑戦 新タイプの企業体スペースシャワーSKIYAKIホールディングス
■エンタテインメント業界の構造変化 アーティスト・クリエイターにパートナーとして選ばれる企業に
――今回の経営統合の最大のポイントが、ソリューションの強化であることをはっきりと理解しました。それにより、エンタテインメント業界において、どんなポジションを確立していきたいとお考えでしょうか。そのイメージを教えていただけますか。 林 フィジカル、デジタルも含めた、トータルなソリューションを提供できるソリューションプロバイダ、ソリューションプラットフォームを作ることが、これからとても重要だと考えています。おそらく世の中は今よりももっと分散化していくでしょう。世の中の人全員が、組織に属さないフリーランサーになる社会は来ないと思いますが、大企業からベンチャーに移る人、さらには個人で仕事を行う人は、今以上に増えていくはずです。エンタテインメントの世界にもそういった動きはあって、「個人へのパワーシフト」が重要なキーワードになっています。フルパッケージを備えた大企業に属するアーティスト・クリエイターがいる一方で、そうではない道を選ぶ人もいる。そういう人たちが十全に活動できるようなサポートを、エンタテインメント業界の一角にいる我々としては行っていきたい。多様化する各種ニーズに応えられるようなソリューション企業でありたい。クリエイターエコノミーと言われ、多くの人がクリエイターになり得る時代です。その中には素晴らしい才能を持つ人が当然いるわけで、そのビジネスをきちんとスケールするための機能を提供できる企業となる。今回の統合を通して、我々はそんな大きなテーマを掲げています。そのための基盤づくりを着実に行っていきたいですね。 小久保 アーティストやクリエイターの考え方も多様化しています。ある程度、人気を獲得したら大手レーベルに移籍するケースもあれば、その逆もあって、自分たちにフォーカスしてもらえないと感じて個にシフトするケースもあると思います。サポートしてほしいことがたくさんあり、どうすればいいのか悩む人たちに対して、トータルでソリューションを提供できる存在でありたい。当社と付き合っていれば、どんな局面においてもサポートしてくれて、何かいいことしかないよね、ってアーティスト・クリエイターに思ってもらえる状況が作れるようにしたいですね。 ――先ほどおっしゃったように、独立して個人で事務所を立ち上げるアーティストやタレントも増えています。それができる時代に変化しているわけですね。 林 大手メジャーほどの規模ではありませんが、スペースシャワーもありとあらゆるソリューション機能を持っています。今後、個人で活動する人が増えれば増えるほど、我々のようなワンストップサービスを欲しがるニーズは増えていくと思います。とくにアーティスト・クリエイターは、自分の才能や価値で生きている人たちなので、自主独立を重視する傾向は強まっていくと思います。何か困った時、何かやりたいと思った時に、パートナーとして選ばれる企業になりたいですね。 小久保 従来のメディアを中心とした経済圏においては、これまでの日本の芸能事務所の型は必要であったと思いますが、昨今ではアメリカのエージェント制度を取り入れる事務所も出てきましたし、独立して個人で活動するアーティスト・クリエイターも増えつつあります。これからは仕事の内容によって適切な外部のパートナーに発注する形に変わっていくでしょう。そういう意味で、今はエンタテインメント業界全体の構造が変わりつつある時期にあります。今回の経営統合は、SKIYAKI側としては、今やらなければならないほど逼迫した状況ではありませんでした。でも、長い目で見ると、今のこのタイミングって、業界が再編されるくらいのチャンスじゃないかと。これからの時代のニーズに合った、新しいビジネスモデルを創造したいと思っています。 撮影・加藤千絵(CAPS)/ 文・葛城博子 林 吉人(はやし・よしと)氏プロフィール:1988年、伊藤忠商事入社。2002年スペースシャワーネットワーク入社。05年セップ取締役、07年スペースシャワーネットワーク執行役員 コーポレート企画室長、16年同社執行役員 エンタテインメント事業本部長、19年同社取締役上席執行役員。21年同社代表取締役社長に就任 小久保 知洋(こくぼ・ともひろ)氏プロフィール:富士写真フイルム(現、富士フイルムホールディングス)、光画印刷、オン・ザ・エッヂ(ライブドア)執行役員、NHN JAPAN(現、LINE)執行役員、Cerendip代表取締役、Diverse取締役を経て、2019年、SKIYAKIへ入社。2020年、同社代表取締役に就任
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