「夜露死苦」が自由? 海外の目に映るダサカッコいい日本のヤンキー文化
ドイツの不良は政治的? 町を牛耳るギャング化も問題に
――ドイツには日本的なヤンキーはいないのですか? いないですね。日本のヤンキー文化をはじめて知ったときは斬新でした。そもそも「ヤンキー」というワードからアメリカ人のことかなと思ったくらいです。 暗い話になってしまうのですが、ドイツのアウトローでまず思いつくのは「ネオナチ」ですね。「アーリア人最高」とか「白人万歳」といった主張を掲げている集団です。グループ内での友情を大事にしていて「ともに外国人排斥運動を頑張ろう」と活動をしています。ネオナチの対極にいるのが極左グループです。彼らはネオナチとの闘争を目標としていて、殴り合いの衝突に発展するケースもあります。
ネオナチは丸刈りにボンバージャケット、ふくらみのあるパンツをブーツインする格好が特徴的です。さらにブーツの靴ひもの色でも政治的ポジションを表明していて緑・赤・白に分かれますね。 グループ内での暗号のようなものもあって、例えば「88」。日本では拍手のパチパチの表現でポジティブなものだったりしますが、ドイツでは全く逆。アルファベットの8番目の文字が「H」なので「88」でハイル・ヒトラーを意味する暗号になってしまうのです。こうした暗号的なものを自分の衣装に着けたりして主張しています。 一方の極左はパンク文化に近いので髪の毛を染めたり、モヒカンにしたりして、スパイクがついた黒の革ジャンにマークスプレーをします。自分の意思でカスタマイズする点はちょっとだけ特攻服と似ていますね。 ――「東リベ」に登場する暴走族のような集団はドイツにもいるのでしょうか? 国際的バイカーギャング「ヘルズ・エンジェルズ」と関わりのある集団がいます。見た目は暴走族に近いですが、仕事として不法行為をしていて、ひどい所だと町自体を彼らが支配する所もあるのでギャングに近いイメージです。一般人も被害に遭っていて、ベンチに座っていただけの高齢者がいきなり蹴られる事件もありました。彼らの「度胸試し」のために。ほかには線路に突き落とされる事件などもあって非常に問題視されています。日本のヤンキー漫画のように彼らがエンターテインメント作品の題材になる、ということはまずないですね。